熊本県八代市庁舎建設を巡る汚職事件で、賄賂をマネーロンダリング(資金洗浄)したとして組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で再逮捕された市議の成松由紀夫容疑者(54)らが、自身への疑惑を調査する市議会特別委員会(百条委)を中止させるため、同容疑で新たに逮捕された住所・職業不詳の男(51)にフリージャーナリストを名乗らせ、百条委の委員長らに接触させていた疑いがあることが29日、捜査関係者らへの取材で分かった。
関係者によると、男は「櫻井要」と名乗っていた。「成松市議らの疑惑を記事にしたい」として、成松容疑者を追及していた動画投稿者の男性に接触し、内部資料を入手。男性は熊本日日新聞の取材に「疑惑の真相を取材しているという言葉を信じて、資料や情報を提供してしまった」と明かした。
男は、ほかにも複数の市関係者に電話をかけたり、3月中旬には百条委の中山諭扶哉委員長らと面会したりしていた。中山委員長は「取材のため会ってほしいと頼まれ、指定された場所で一度だけ面会した」と話した。
成松容疑者は周囲にこれらの資料を示し「やつら(中山委員長ら)の手口はお見通しよ。逮捕はされない」と話していた。熊本県警と警視庁の合同捜査本部によると、成松容疑者らは、男が3月ごろに市職員らと接触した際の写真を共有していたという。
成松容疑者が当時所属していた自民党八代市議団は4月15日に記者会見し、中山委員長が、証人喚問された市職員と事前に接触したとする写真を提示。同20日、百条委の運営が公平性を欠いているとして、百条委の中止を求める勧告書を市議会に提出した。
事件を巡っては、成松容疑者と、いずれも八代市の職業不詳の男(61)、元市議の男(84)の両容疑者が、受注業者側から現金6千万円の賄賂を受け取ったとしてあっせん収賄容疑で逮捕された。賄賂のうち約2千万円が、東京のIT関連会社名義の口座に入金されて資金洗浄されていた疑いが浮上した。
捜査本部は今月28日、組織犯罪処罰法違反容疑で成松容疑者ら3人を再逮捕するとともに、住所・職業不詳の男のほかIT関連会社役員や八代市の団体職員ら3人を新たに逮捕した。(地域報道本部取材班)