【追跡事件簿】熊本市南区の質屋窃盗 匿流関与か 目立つ若者の摘発 県警「踏みとどまって」

昨年11月、熊本市南区の質店に2人組が侵入し、貴金属が盗まれた事件。熊本県警は今年4月までに、指示役1人と10代の実行役2人を窃盗と建造物侵入の疑いで逮捕した。指示役と実行役に面識はなく、県警は匿名・流動型犯罪グループ(匿流)が背後にいるとみて捜査を進めている。

 事件は昨年11月7日未明に発生。黒いフードを被った2人組がハンマーのようなものを手に、熊本市南区の質店の窓ガラスをたたき割り、店内に侵入した。2人は店内のショーケースからネックレスやブレスレットなど貴金属計12点(計560万円相当)を盗むと車に乗り込み、国道3号を南に逃走した。

 事件から3日後、県警は実行役で福岡市の建設作業員の男(19)を逮捕。その後、指示役の住所不定無職の男(32)を東京都内で逮捕した。もう一人の実行役、住所不定無職の男(19)は逃走を続けていたが今年4月、浜松市内にいたところを確保した。

 実行役2人は容疑を認めたが、指示役の男は黙秘を続けた。逃走に使われた車のナンバープレートは、指示役の男の指示を受けた、別の男女2人が八代市の車両置き場から盗んだものとみられる。
捜査関係者によると、質店の窃盗事件の実行役2人は友人同士で、「遊ぶ金ほしさ」に先輩に仕事の紹介を依頼。秘匿性の高い通信アプリを紹介され、指示役の男からアプリを通じて指示を受けていた。捜査関係者は「実行役を集めるのが難しい地方では、少年同士のネットワークから、匿流につながってしまうケースもある」と指摘する。指示役の男は起訴され、実行役の2人は家裁送致された。

 匿流は首謀者や指示役が交流サイト(SNS)などを通じて実行役を集め、メンバーを入れ替えながら特殊詐欺や強盗などの犯罪を行う。2022~23年に東京や千葉などで相次いだ強盗事件で注目されるようになった。今月14日に栃木県で起きた強盗殺人事件は実行役として16歳の高校生4人が逮捕され、社会に大きな衝撃を与えた。

 警察庁のまとめでは昨年、匿流が関係したとされる資金獲得犯罪で6679人が摘発された。このうち20歳未満は1048人と、若年層の摘発も目立つ。
質店の事件に加担した10代の実行役2人は、それぞれ数十万円の報酬を受け取っていた。捜査幹部は「社会経験の乏しい若者にとって報酬は魅力的に映るかもしれないが、刑罰を受けるリスクに到底見合わず、犯罪グループの『捨て駒』にされるだけ」と指摘。「簡単にお金が手に入るような話には飛び付かず、踏みとどまってほしい」と呼びかける。(迫田真帆、清水咲彩)

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