「年収はギリギリ」「本当の目的は金じゃない」 取材で見えた”炎上系YouTuber”意外な実像

しばしば世間を賑わす「炎上系」と呼ばれる動画配信者。彼らは過激な動画で賛否両論を巻き起こし、再生回数を稼いでいる。一体彼らは何者で、なぜ炎上を狙うのか。そして、情報リテラシーが不可欠となる現代で、私たちはその動画とどう向き合うべきなのか。【動画】肥沼氏「本当の目的は金じゃない」『炎上系ユーチューバー』(幻冬舎新書)を出版したジャーナリスト・肥沼和之氏に、その実像と現代社会が抱える課題について聞いた。(弁護士ドットコムニュース・玉村勇樹)
2023年夏頃、痴漢や盗撮犯を私人逮捕する動画が社会現象となった。肥沼氏が炎上動画をテーマにしようと思ったきっかけも、自身のタイムラインに「世直し系」や「潜入系」と呼ばれる動画が目に付くようになったからだった。

「よくやった」「どんどんやってくれ」という賞賛の声がある一方、「怪我をしたらどうする」「冤罪だったらどうする」といった批判も多く寄せられた。賛否両論のコメントによって再生回数を増やし、社会的な注目を集めていたのだ。

当初は「何かスリルがあるなと関心しながら見ていた」というが、次第に違和感を抱いていく。「いいことをしているのかも知れないけど、手放しに応援や賛同はできないなと思った。それがなぜなのか?その『モヤモヤ』の正体を知りたいと感じました」。

取材前は「怖い人」かもしれないと身構えていたが、実際に会った彼らはごく普通の人々で、真摯に取材に応じてくれたという。

「中には元不良だったり、前科があったりする人もいましたが、彼らは『世直し』という強い使命感を持って活動していると感じました。収入も『ギリギリ食べられる』程度で、収益目的だけでなく、使命感を重視している。素人ながらも犯罪手口を学び理論武装するなど、その本気度には感心しました」
では、なぜ彼らは賛否を呼ぶとわかっていながら過激な行動を続けるのか。肥沼氏は、その背景に「自己実現」と「アテンション・エコノミー(関心経済)」があると分析する。

「学歴や経歴にコンプレックスを抱える、いわゆる『持たざるもの』が成功を収めるのが困難な現代社会で、注目を集めることが自己実現の近道になっているのです」

コンテンツの質や正しさよりも、いかに注目を集めるかが重要視される。注目されれば賛同者や支援者が増え、同時に批判的なコメントも増えるが、結果として再生回数は伸びていく。彼らは炎上が注目獲得の手段であることを自覚しているのだ。

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