不祥事に経営難…地域の病院にいまこそ必要な経営の専門知識

「社会に新たな動きがあると、新たな資格が生まれてきます。そんな多種多様な資格を取るために学ぶうちに、世界の見え方も変わってきました」。資格マニアの醍醐味をそう話すのは、1000を超える資格を持つ鈴木秀明さんです。

仕事のためにしぶしぶ受けた資格試験の勉強が、いつのまにか仕事の枠組みを超えた自分の教養になっていた……そんな経験を持つ人もいるはずです。

そこで、資格マニアの鈴木さんが世に数ある資格を、世の中の動きとともに案内する大人のための資格ガイド。
今回のテーマは、医療経営士です。医療技術のレベルの高みを目指すあまり、経営がおろそかになりがちな医療機関。不祥事や経営難が報じられるなか、病院経営の専門的知識が重要になっています。
教授逮捕に揺れる東大病院

いま東京大学医学部付属病院(東京都文京区)が揺らいでいます。東京大学大学院・医学系研究科の現役教授が、1月24日に収賄の疑いで逮捕されました。一般社団法人「日本化粧品協会」との共同研究の見返りに、高級クラブや性風俗店で接待を受けたとされ、その総額は数百万円とも、数千万円とも言われています。

これに伴って、東大病院の院長が1月27日付で引責辞任。さらに翌28日には、東京大学の藤井輝夫総長が異例の記者会見を開き、みなし公務員である東大教授が巨額の接待を受けていたことに気がつかなかったことなど、大学全体のガバナンスに問題があったことを認めて謝罪し、「ガバナンス強化の改革」に全力で取り組む方針を述べました。

こうした医療機関のガバナンス問題は、医師らの逮捕が相次いでいる東大病院はもちろんのこと、近年、経営難にあえぐ医療機関が増えている点においてもクローズアップされています。

帝国データバンクが1月に発表した医療機関の倒産・休廃業解散動向調査によると、2025年の医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産は66件、休廃業・解散は823件となり、それぞれ過去最多を更新しました。厚生労働省の調査では、2024年度、全国の一般病院の7割超が赤字でした。

大きくは人手不足や物価高によるコスト増などの背景があるとされていますが、同時に経営悪化が表面化するまで十分な対策が取られなかった、ガバナンス不全の問題ともいえます。医療法人は非営利団体であり、「医療機関は経営不在」とも揶揄されてきただけに、経営の専門人材が少ないのが実情です。

またタイミングとしては、2025年12月から始まったマイナ保険証の義務化も、医療機関の経営をさらに厳しくしているといわれます。マイナ保険証の読み取り機器やシステムの導入コスト、それに伴う窓口業務の複雑化、さらには度重なるシステムトラブルなどが、医療機関の経営を圧迫しているというのです。

質の高い医療を提供することは重要ですが、そればかりを重視するあまり、これまで組織を維持するためのビジネスや管理の視点がおろそかになりがちだった医療機関。社会が複雑化するなか、病院経営においても専門的な経営知識が必要な時代になっているのです。

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