SNSなどで離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」が資金獲得犯罪に関わったとして、福井県警が2025年に逮捕・書類送検した容疑者が137人に上ったことが、県警への取材でわかった。前年の76人に比べて1・8倍に増加。摘発数は増えたが、トクリュウが関与したとみられる特殊詐欺の被害は依然として続いており、県警は捜査態勢を強化している。(佐藤圭史)
「匿名・流動型犯罪グループは、治安上の課題となっている事犯の多くに深く関与し、極めて危機的な状況にある」。増田美希子本部長は4月23日に行われた署長会議でこう述べ、トクリュウへの総合対策を第一に掲げた。
警察官をかたる特殊詐欺が相次いでいる状況に触れ、被害者の協力による「だまされたふり作戦」や防犯カメラの捜査、銀行口座の凍結といった初動捜査を徹底するよう指示した。
トクリュウは、SNSなどを通じて緩やかにつながったメンバーを入れ替えながら、詐欺や窃盗といった犯行に及ぶのが特徴だ。
県警によると、25年の摘発者数の内訳は、覚醒剤取締法違反などの薬物が45人で最も多く、特殊詐欺などの詐欺が36人で続いた。このほか、窃盗16人、自分名義のキャッシュカードを他人に渡すなどの犯罪収益移転防止法違反13人――などだった。
県警は25年度、組織犯罪対策課にSNS型詐欺対策係を新設したほか、組織的な窃盗への対策として県警捜査1課を増員するなどした。さらに、26年度は福井、福井南、大野、坂井の4署にトクリュウ対応の捜査員を1人ずつ増やした。
態勢強化が摘発数の増加に結びついた形だが、県内の特殊詐欺被害は今年に入っても相次いでいる。1~3月の被害件数は63件(前年同期比40件増)で、被害額は4億400万円(同1600万円減)だった。
被害をなくすにはトクリュウの実態解明と指示役らの摘発が重要となる。
県警組織犯罪対策課によると、昨年の摘発者は末端メンバーが多く、闇バイトの募集に応じたのは32人いたという。同課の担当者は「短時間で高収入という甘い言葉に誘われ、犯罪者になってしまう。安易に考えないでほしい」と強調する。「トクリュウの情報を集約、分析して実態解明と中核となる人物の取り締まりを進める」としている。