最悪シナリオ、イスラム共和国体制の延命による“イランの北朝鮮化”

2009年には大統領選挙での不正を糾弾するデモから全国に拡大したグリーン運動。2022年にはヘジャブ着用規定違反で女性が宗教警察に拘束され死亡したことから全国的騒乱へ。そして2025年末には物価高への抗議運動から始まり、2026年初頭には全国的反政府運動に拡大。3万人が死亡したとも云われる天安門事件級の事件である。【画像】最悪シナリオ、イスラム共和国体制の延命による“イランの北朝鮮化”こうした激しい全国的デモが再三勃発していることを考えると、筆者が一昔前に見聞した“イランの日常生活”(本編第1回ご参照『抑圧された日常生活“イスラム体制国家イラン”は持続可能か』)が現在でもほとんど変わっていないと思われる。

 そして国内に不満のマグマを抱えながらも、イスラム共和国体制が倒れないのはなぜだろうか。イランは総人口8900万人という中東一の人口大国であるが、国内の体制を支える勢力と反体制勢力について考えてみたい。
メディアで紹介されているように革命防衛隊は国家の中の国家である。前最高指導者ハメネイ師亡き後は、革命防衛隊がイラン政府の舵取りをしている。革命防衛隊の傘下にはさらに百万人超とも云われる巨大民兵組織(バスィージ)がある。

 民兵の大半は市民ボランティアである。彼らはフツウの市民であり、平時は制服を着ていないので、外見上は民兵とは分からない。民兵組織の活動は多岐にわたり、イラン社会の隅々にまでネットワークが張り巡らされている。

 民兵にシンパや協力者を含めると500万人ともいわれ、選挙ではイスラム保守派候補を支援する集票マシーンとなる。

 革命防衛隊と民兵組織は治安維持、市民の監視、反体制運動弾圧、イスラム教の教宣活動を担っている。民兵組織ネットワークが“監視と密告の社会”を作り上げている。
1979年2月のイスラム革命により、王族はじめ数十万人の富裕層は米国へ亡命した。現在米国に暮らすイラン人は75万人、半数がカリフォルニアに在住。テヘランで筆者が通った歯科医院のオーナーもカリフォルニア在住で、ペブルビーチ・ゴルフクラブの会員だった。筆者が駐在していたテヘラン事務所ではテニスコート、プール、サウナ付きの豪邸をゲストハウスとして借りていた。オーナー夫妻はやはりカリフォルニア在住だった。

 こうした米国在住イラン人はイスラム共和国体制の転覆を望んでおりトランプのイラン攻撃を支持している。

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