逮捕状を破ったことを理由に逮捕ーー。落書きを理由に逮捕状が出ていた男性が、警察官から逮捕状を奪って破り、現行犯逮捕されたことが報じられました。【写真】都内の路上には水で描かれた「禰豆子」が中京テレビNEWS(4月23日)の報道によると、逮捕された男性は、地下道に落書きしたとして器物損壊容疑で逮捕状が出されていました。警察が逮捕状をもって男性の自宅を訪れたところ、男性は「何もしていない」と怒鳴りながら逮捕状を奪って破ったため現行犯逮捕されたそうです。
逮捕の容疑は「公用文書等毀棄(こうようぶんしょとうきき)」とのことですが、どういう罪なのでしょうか。また、今後どうなるのでしょうか。
逮捕状は裁判官が記名押印した「公務所の用に供する文書」です。これを破ると、公用文書等毀棄罪(刑法258条、3カ月以上7年以下の拘禁刑)に問われます。
公用文書でない紙を破って、通常の器物損壊罪(刑法261条)となる場合には「3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料」(刑法261条)ですから、かなり重い犯罪といえます。
単に物を壊したということだけでなく、「公務の適正な遂行を妨害する」という側面があるためです。
今回、警察は器物損壊の逮捕状を使わず、公用文書毀棄罪の「現行犯逮捕」という形をとっています。
目の前で警察官から逮捕状を奪って破れば、公用文書等毀棄罪の現行犯が成立します。
破れ方にもよりますが、破れた逮捕状でそのまま器物損壊容疑の逮捕をすることも可能であった可能性はあります。
ただ、新たに発生した罪で現行犯逮捕する方が手続上明快で、後から異議が出にくいという実務的な判断があったのではないでしょうか。
形式的には、当初の器物損壊の逮捕状では逮捕されていないため、再度逮捕状を取って逮捕することも可能と思われます。
しかし、これは私見ですが、いずれの容疑も認めているとのことですので、報道されている事情からは、そこまで逮捕・勾留を続ける必要性もなさそうです。公用文書毀棄罪での逮捕・勾留(最大23日間)を経て、当初の器物損壊罪も合わせて起訴されるのではないかと思われます。
いずれにせよ、結局は両方の罪が問われることになりそうです。