京都府南丹市の山中で安達結希(ゆき)さん(11)の遺体が見つかった事件。京都府警は15日午前から、何者かが遺体を遺棄した疑いがあるとして、死体遺棄容疑で安達さんの自宅を家宅捜索した。遺体発見から2日後の急展開。強制捜査は何がポイントとなったのか。元検事や元刑事に聞くと「府警には相当の確信がある」と異口同音に指摘する。捜査の見立てと今後の展開は――。【写真】京都・男児遺体発見 府警が自宅を死体遺棄容疑で家宅捜索 大家族になにが…* * *
家族が警察にした説明によると、安達さんが消息を絶ったのは3月23日。午前8時ごろ、父親が運転する車で小学校近くまで行き、車を降りたあと、行方が分からなくなった。安達さんは登校しておらず、学校周辺の防犯カメラにもその姿は確認されていない。
行方不明から3週間後の4月13日、市内の山林で遺体が見つかった。司法解剖の結果、安達さんは3月下旬に死亡したと推定され、府警は事件に巻き込まれたとみて捜査している。全容解明には、自宅の捜索が必要と判断したもようだ。
■強制捜査に乗り出す「確信」 遺体は屋内にあった?
「警察は主要な容疑者のめどをつけていて、確信を持って家宅捜索に踏み切ったように見えます」。元検事の大澤孝征弁護士は、遺体発見で強制捜査への根拠が固まったと見る。「司法解剖の結果、遺体の状態からいろんなことがわかった。『屋内を調べる必要がある』と判断したのだと思います」
元捜査員の見立てはどうか。長年、殺人事件などの捜査を手がけた元警視庁捜査一課の佐藤誠さんも「当局は相当な確信を持って動いている」と語る。
「ガサの目的は、ルミノール反応での血痕や、不自然な清掃痕、漂白剤の跡……。そうした『ここで何かが起きた』という決定的な痕跡を探していくことです」。現時点での断定は避けつつ、警察の動きは殺人事件も視野に入れたもので、屋内の痕跡を探していると解説する。
家宅捜索が続く15日昼。大粒の雨が降るなか、現場付近を歩いた元兵庫県警捜査一課の飛松五男さんは「警察は自供がなくても起訴できるくらいの『確実な証拠』を持っとるはず。きょうのガサは家族が住んでいる自宅が対象で、世間の反発も予想される。だからこそ、検察ともきっちり協議して、客観的資料だけでいける確証を得ていると思う」
■捜査の撹乱を狙う?遺留品と遺体発見地点のナゾ
そもそも、今回の事件は不可解な点が多い。
警察などが連日捜索を続けた結果、3月29日に小学校から西に約3キロ離れた山中で安達さんの通学かばんを発見した。次に4月12日には、小学校から南西に約6キロの場所で子どものものとみられる靴が見つかった。そして、行方不明から約3週間たった13日午後4時45分ごろ、同校の南西約2キロの山林で、捜索中の警察官が安達さんの遺体を発見した。
佐藤さんはいう。「われわれの言葉で『誘導ポイント』と言います。警察の捜索方向を意図的にそらすため、遺留品を全然関係ない場所に置く手口です。例えば、本当は新宿で殺したのに、渋谷に遺留品を置くとか。今回もその可能性は十分に考えられます」
遺体が仰向けで発見されたことについても、不自然だと語る。
「山の中で見つかる遺体は、遭難でも自然死でも、大抵うつぶせか横向きです。ところが今回は仰向け。われわれの感覚からすると、整いすぎています」
車から抱き上げ、ひょいとそこに置いた……。そんな情景が目に浮かぶ。また、遺体に落ち葉がかかっていなかったのは、遺棄から発見までそれほど時間が経っていなかった可能性も高いと見る。