【日本に浸透する中国のスパイ活動】狙われる日本の技術、中国資本による自衛隊基地近くの土地取得も問題視 有事の際に中国の軍事拠点や情報収集施設に転用される恐れも

日本ではスパイを取り締まる法律も機関もなく、「スパイ天国」と揶揄されることも多い。そんな日本に対し中国は、機密や経済情報、知的財産の窃取から、政治家を巻き込んだ工作まで幅広くスパイ活動を仕掛けているという。その実態について、国際ジャーナリストの山田敏弘氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
筆者の取材では駐日中国大使館に国家安全部から送り込まれた幹部が在籍しているとの情報も得ている。国家安全部は対外情報活動を担う組織であり、外交官であればウィーン条約で不逮捕特権を享受できる。

 スパイの活動構造は極めて体系的だ。幹部らの下に広がるのが、表向きは実業家や研究者として活動する華僑・華人。日本社会に深く食い込み、標的となる日本人の選定、地下銀行のルート確保を行なっているとされる。

 そして留学生や技術者、弱みを握られた日本人などが、特定の機密情報の窃取や、物資の運搬を担う。公安関係者は「日本では、中国スパイの活動が他の国と比べて群を抜いている。社会に自然に溶け込み、中国系の2世や3世も日本に多く住んでいるため、最大の脅威になっている」と話す。

 中国人スパイが特に狙ってきたのは日本の技術である。大学や企業に、共同開発や投資などと持ちかけて接近し、技術を盗もうとするケースは後を絶たない。例えば、ある大学の教授がマイクロ波の波動で物体の内部構造を可視化する画期的な技術を確立した。中国人スパイが、その先端技術を海中での潜水艦などの動きを検知するなど軍事転用できると注目し、関係者に中国の大学や民間企業を使って接触を続けていると言われている。

 2023年には、茨城県の国立研究開発法人産業技術総合研究所で、中国籍の主任研究員の男が、研究成果を中国の企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反容疑で警視庁に逮捕されている。この男は中国の人民解放軍と繋がりのある国防7大学で教授を務めていたことも判明した。ただこれらのケースは、氷山の一角に過ぎないだろう。

 こうした活動以外にも、中国資本による防衛施設周辺の不動産取得も問題視されている。東京都内の重要施設周辺に絞れば、中国人による土地・建物取得数が最も多いのは東京・市ヶ谷の防衛省周辺だ。全国で見ても、自衛隊のレーダー基地が目視できる土地に不動産が購入されたケースも確認されている。特に懸念されるのは、中国には国防動員法という法律があり、有事の際には中国人が所有する土地などが軍事拠点や情報収集施設に転用できるということだ。

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