歴史の闇に消えた「真実」は、なぜこれほどまで人を惹きつけるのか。未解決の殺人事件を題材にした映画には、単なる犯人捜しを超えた、人間の執念や社会の歪み、そして“答えのない恐怖”が色濃く描かれる。今回は、実在の事件やそれに着想を得た物語をもとに、観る者の心をざわつかせる海外映画5作品を厳選して紹介する。第1回。(文・小室新一)
監督:オリバー・ストーン
キャスト:ケビン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズ、ゲイリー・オールドマン、ケヴィン・ベーコン
【作品内容】
1963年11月22日、ダラスで起きたケネディ大統領暗殺事件。犯人とされたオズワルドは逮捕直後に射殺され、事件は幕を閉じた。
しかし、その3年後、ニューオーリンズの地方検事ジム・ギャリソンは、公式発表の矛盾に気づき、独自の再捜査を開始する。
【注目ポイント】
『ウォール街』(1987)や『天と地』(1993)などの社会派作品を手掛けるオリバー・ストーン監督が、ケネディ暗殺の真相に大胆な仮説を立てて挑んだ衝撃作だ。
主人公の家庭を顧みず真実を追い求める検事ギャリソンを、『アンタッチャブル』(1987)や『ボディガード』(1992)のケビン・コスナーが正義感と悲哀を込めて熱演。
さらに、トミー・リー・ジョーンズ、ゲイリー・オールドマン、ジョー・ペシといった豪華すぎる共演陣が、それぞれの思惑を抱えた怪しげな人物たちを怪演している。
膨大な資料と証言を繋ぎ合わせ、暗殺の瞬間を多角的に検証する緻密な構成は見事である。特に終盤の法廷シーンにおける、ケビン・コスナーによる渾身の長回し演説は圧巻だ。
「魔法の弾丸」理論の矛盾を突き、国家の嘘を暴こうとする彼の言葉は、いまだ多くの謎に包まれるこの事件に対する、映画界からの挑戦状とも言える熱量に満ちている。