「生レバー」を出した飲食店主が逮捕… 注文して食べた客側に「共犯」が成立し得るケースとは?【弁護士解説】

先日、滋賀県の飲食店で牛の「生レバー」を客に提供していたとして、経営者の男が食品衛生法違反の容疑で逮捕された。厚生労働省「牛のレバーは、中までしっかり加熱してください」本件は、客が生レバーを店から持ち帰って警察に提出したことで発覚したという経緯から、SNSでは「チクリだ」「裏切り行為だ」と客側を非難するコメントが見られた一方で、「勇気ある告発だ」「被害者が出る前に発覚して良かった」などの声もあった。

気になるのは、店側が生レバーを提供するのが違法行為であれば、違法であることを知りながらそれを食べる客側も“共犯”となり処罰の対象となるのか、という点だ。
そもそも食品衛生法とは「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康を保護すること」を目的とする法律である(1条)。

具体的には、以下のような内容の規制を行っている。

・有害・有毒な食品の販売等の禁止

・規格基準に適合しない食品の製造・販売の禁止

・営業許可制度、施設基準

・立入検査、営業停止等の行政処分

・罰則規定

2011年、日本国内の焼肉チェーン店で、ユッケなどを食べた客が集団食中毒を起こした。この事件を契機に、牛の生食用食肉に対する規制が強化された。

2012年以降、牛の肝臓(牛レバー)については「加熱用として販売すること」が義務付けられ、生食用としての提供・販売は禁止されている。

そして加熱処理をしていない牛レバーを「生食用」として提供する行為は、食品衛生法に基づく「規格基準」違反となる(13条2項)。

具体的には、厚生労働省が定める規格基準では「牛の肝臓の中心部の温度を63℃で30分間以上加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で牛の肝臓を加熱殺菌しなければならない」と定められており、これに違反する提供は違法となる。

牛レバーは、内部に腸管出血性大腸菌(O157など)やその他の病原菌が存在する可能性があり、十分に衛生管理を行った新鮮なものであっても、食中毒が発生することがあるのが理由だ。

食品衛生法における規格基準違反には「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(または併科)(82条、13条2項)」の罰則が定められている。また、実際に違反を行った個人に対してだけでなく法人に対しても罰金を科す「両罰規定」も定められている(88条)。

さらに法人の場合には営業停止等の行政処分(60条1項)がされる可能性もあり、罰則は重いといえるだろう。

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