先日、変死事案で取り扱った女性の裸を撮影していたとして、綾瀬署(東京都・足立区)の男性巡査部長(52)が懲戒免職となった。【ストリートビュー】遺体が撮影された赤羽警察署報道によると巡査部長は、赤羽署(北区)を含む、当時勤務していた複数の警察署の霊安室で、鑑識などで扱った約20人の女性の変死体をスマートフォンのカメラで撮影し、約500点の画像データを自宅に持ち出すなどしたという。
巡査部長は2025年9月、埼玉県内の駅構内で盗撮していたところ、迷惑防止条例違反の容疑で現行犯逮捕された。そして警察が巡査部長の自宅を捜索したところ、上述の変死体の写真が発見されたという経緯である。
なお、巡査部長が数年にわたって駅構内で女性のスカート内を複数回盗撮していたことも発覚し、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(所持)容疑などでも書類送検されている。
逆に言えば、報道によると現時点では「裸の女性の変死体を撮影していた行為」に関する犯罪の容疑では書類送検されていない、ということだ。死体であっても女性の裸を撮影する行為が、なぜ、盗撮などの罪に問われないのだろうか。
いわゆる盗撮行為は、「性的姿態等撮影処罰法(性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の撮影にかかる電磁的記録の消去等に関する法律)」が定める「性的姿態等撮影撮影罪」、または各都道府県の定める迷惑防止条例か、によって規制されている。
刑法に詳しく、僧侶でもある荒川香遥弁護士(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)によると、撮影罪とは「自己の性的な姿態を他の機会に他人に見られるかどうか」という意味での、撮影対象者の性的自由や自己決定権を守るために定められたものである。
「性的自由や自己決定権は生きている人しか持たないものなので、撮影罪は被害者を『生きている人』に限定していると理解されます。
このため、たとえ亡くなった人が生前に『自分が死んだ後に裸を撮影されたくない』などの意思を有していたであろうことが容易に想定できるとしても、裸の死体を撮影する行為について、撮影罪が成立すると考えることは難しいのです」(荒川弁護士)
同様に、迷惑防止条例違反の罪も「住民」の生活の平穏を守るために定められていることから、条例違反の被害者も生きている人に限定していると理解され、同罪の成立は難しいと指摘する。
「そもそも刑法をはじめとする刑罰法規は、生きている人と死体を別異に取り扱っており、両者を同視することは困難でしょう」(荒川弁護士)