交際相手の息子(当時1歳)の腹部を手で押して突き飛ばしたとして、暴行罪に問われた被告(27)の判決が13日、大阪地裁であった。大森直子裁判長は「自白の信用性には疑問が残る」として、無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した。▶「病気などが原因の可能性を否定できない」、生後4か月女児に全治不能のけがに大阪地裁が無罪判決
被告は2024年10月、交際相手が住んでいた大阪市平野区のマンションの一室で、男児に暴行を加え、腹腔(ふくくう)内出血で死亡させたとして傷害致死容疑で逮捕・起訴された。大阪地検が25年6月、起訴事実の変更を請求し、地裁が暴行罪への変更を認めた。被告は公判で暴行を否定した。
判決によると、被告は男児の死亡翌日に約5時間半、警察署で虐待担当の取調官から2人きりで取り調べを受けた。この時、暴行の自白調書が作成され、約2週間後に逮捕された。
判決は、取り調べの様子が録音録画されておらず、取調官の補助役もいなかったことから「2人のやりとりが客観的に確認できず、自白調書の内容がゆがめられた可能性を否定することは困難だ」と述べた。
刑事訴訟法は裁判員裁判対象事件について、逮捕後の取り調べの全過程を録音録画するよう義務付けている。甲南大の渡辺顗修(ぎしゅう)名誉教授(刑事訴訟法)は「逮捕段階の容疑は裁判員裁判の対象事件で、大阪府警は逮捕前であっても録音録画すべきだった。密室で自白させることが真相解明になるという捜査姿勢を正すべきだ」と指摘する。