〈若者を中心に増加する「ゾンビたばこ」被害。報道は少ないものの、その汚染は首都圏にも及んでいるという。その最前線が新宿歌舞伎町にある「トー横界隈」だ。数々のアングラ取材を行ってきたライター・漆原貴之氏が、その闇に迫る〉【画像】閲覧注意! トー横界隈を中心に日本中に広まる「ゾンビたばこ」実物写真
広島東洋カープ・羽月隆太郎被告(25)が使用を巡り逮捕され、球団から契約解除処分を受けた事件でも記憶に新しい「エトミデート」。医療用麻酔を麻薬に転用したものを合成麻薬と呼ぶが、エトミデートもそれにあたり、日本では指定薬物となっている。
摂取すると酔ったかのような高揚感を味わえる一方、強い依存性があるという。さらに認知力の低下や自発呼吸の乱れによる脳の酸欠により動けなくなったり、激しくけいれん、奇行に走るなどの副作用がある。その動きがまるでゾンビに見えることから「ゾンビたばこ」とも呼ばれている。’25年8月には東京・渋谷区のクラブ街駐車場でゾンビたばこを所持していたとして20代の男が逮捕された。これが、都内では初の逮捕者となった。
「不審な動きをしていた車を警察官が発見し、職務質問したところ、車内からエトミデートが含まれたリキッドが見つかったということです。利用者は全国各地で摘発されており、とくに被害が深刻なのが沖縄。沖縄県警与那原署は1月30日、指定薬物エトミデートを含む電子タバコのリキッド約0.75gを所持していたとして、別容疑で逮捕していた男子中学生(15)を医薬品医療機器法違反の疑いで再逮捕しました。沖縄では昨年12月にも中学生が摘発されており、県警は入手経路などを詳しく調べています」(全国社会部記者)
コカインや覚せい剤が1gあたり3〜5万円で取引されているのに対して、ゾンビたばこは3分の1以下の金額で手に入ってしまう。その安さこそ、全国に急拡大している要因だ。一方、売人側にもゾンビたばこを取り扱う理由がある。コカインや覚せい剤、LSDなどの高価な薬物を、安価なゾンビたばこと混ぜて“カサ増し”することで、効果を落とさないまま、価格だけを1万円程度まで下げることができるのだ。
「紙巻きのCBDたばこのように染み込ませて吸ったり、リキッドタイプのアトマイザーを使ってベイプのように吸ったりするヤツが多いね。なかにはそのままあぶったり鼻から吸うヤツもいるけど、いきなり暴れたり動かなくなったりと予想できないから売るときに気をつけろとは言ってるよ。
売人の中にはエトミデートを割りものとして使うヤツが多い。他の薬物のカサ増しとして、エトミデートで割るんですよ。そうすることで、さらに儲けが多くなるからね」(売人グループ関係者)