家計も子育ても任せきりだったばかりに…夫が性犯罪で逮捕され、貯金ゼロで路頭に迷った専業主婦の末路

大沢尚美さんは、家計も子育てもすべて夫に任せ専業主婦として暮らしてきた。安定した生活が続くと思っていた矢先、夫が性犯罪で逮捕されその日常は終焉を迎える。貯金がないにもかかわらず、膨れ上がる裁判費用……。そして訪れる離婚の危機。犯罪加害者家族の支援を展開する筆者が、夫に依存しきった女性の人生を追う。※本稿は、NPO法人World Open Heart理事長の阿部恭子『お金持ちはなぜ不幸になるのか』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。本記事で紹介する事例は個人が特定されないよう修正を加え、登場人物はすべて仮名としています。【この記事の画像を見る】● 強制性交罪で逮捕され 懲役5年の判決を受けた夫

 性犯罪者――。夫は過去に強制性交罪で逮捕され、懲役5年の判決を受け、収監されていました。夫がレイプした女性は、私のかつての同僚で親友でした。夫は最初から、私ではなく親友のことが好きだったのです。

 夫が言う「性犯罪者に与えられた罰」とは、愛していない女性を抱かなければならないことなのでしょう。夫にとって、好きでもない私とのセックスはレイプされているようなものなのかもしれません……。

 私と夫は、かつて東京の大企業に勤めていました。夫とは社内恋愛で結婚しました。私は短大卒で一般職。私に出世願望など一切なく、できるだけ早くに結婚し、子どもを産んで家庭に入ることが夢でした。

 今は都会では専業主婦が少数のようですが、田舎ではそれほど珍しくないし、私の母も親戚の女性たちもほとんど専業主婦で、それが当たり前だと思って育ってきた世代です。

 夫がレイプした女性、伊藤香奈は大学院卒で、留学経験もある女性でした。香奈はプレゼン能力が高くアイディアも豊富で、有能な女性が入ったと社内でも評判になるほどでした。

 「先輩」

 同い年だけど入社が早い私のことを、香奈はそう呼んで慕ってくれていました。
彼女は新卒の社員に比べ年齢がいってからの入社だったので、同期の社員とはあまり馴染めなかったようです。

 「先輩、一緒にランチいいですか?」

 いつもひとりでお弁当を食べている私に香奈は声をかけてくれました。

 「尚美でいいよ、同い年でしょ?」

 「じゃ、私のことも香奈って呼んで」

● 結婚は香奈さんに近づくための 綿密に練られていた犯行計画

 香奈は美しく服装もスタイリッシュですが、気取った感じはなく誰からも好かれる存在でした。それでも恋愛に関しては奥手というか、しっかりした価値観を持っているので、同期の男性陣からは高嶺(たかね)の花と思われ、近づきにくい存在だったかもしれません。

 警察から逮捕の連絡を受けた時、被害女性の氏名は教えてもらうことができませんでした。被害者が香奈だと気が付いたのは、裁判で被害者の証言を聞いた時です。

 夫が香奈に関心があることはわかっていましたが、まさかレイプするなんて……。

 犯行は計画的でした。そのシナリオは、私と結婚する前から作られたものでした。私は夫の犯行に利用されたのです。

 良太は幼い頃から成績優秀で有名な国立大学を卒業していますが、社内では有望視されている人材ではありませんでした。要領が悪く、コミュニケーションが下手で、同期の中では目立たない社員でした。

 結婚の時、良太は恋愛の自由を認めて欲しいと言い、つまり、愛人を作るような物言いでしたが、私は外見も平凡な良太にそんな女性ができることはないと思っていたのです。

 そんな良太は、香奈の視界には入っていませんでした。香奈が良太の存在に気がついたのは、私の夫になったからです。

● 突然の退職が引き金となり 夫は犯行を決意した

 結婚後、香奈は私の家によく遊びに来るようになりました。3人で食事をしたり、温泉に宿泊したこともありました。夫は憧れの香奈を目の前に無邪気にはしゃいでいましたが、私は嫉妬を覚えるようなことはありませんでした。

 私は香奈が心から好きでした。私にとって香奈は、たとえ夫が好きになったとしても仕方がないと思えるほど大切な友達だったのです。

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