不祥事やトラブルによる降板という逆境の中で、急きょバトンを受け取った俳優たち。重圧と比較の目にさらされながらも、独自の解釈と存在感で作品を立て直し、時に前任者以上の評価を獲得してきた。そこで今回は、代役という試練をチャンスへと変え、株を上げた5人の俳優たちを振り返る。第1回。(文・編集部)
【作品内容】
母を道兼に殺されたまひろ(吉高由里子)は、権力争い渦巻く藤原家と関わりながら道長と再会し惹かれ合う。
だが身分と政争に翻弄され別離を選び、激動の宮廷で自らの道を模索していく。
【注目ポイント】
平安時代を舞台に、『源氏物語』の作者・紫式部(まひろ/吉高由里子)の人生を描く物語。
きらびやかな平安貴族社会を背景に、うごめく権力闘争や複雑に絡み合う愛憎、そして一人の女性が名作を書き上げるまでの内面が丁寧に紡がれていく。
その中で重要なポジションを担ったのが、藤原隆家である。
隆家役をめぐっては、当初キャスティングされていた永山絢斗が薬物による逮捕によって降板。
急きょ代役として抜擢されたのが竜星涼だった。
大河初出演という大舞台に加え、前任者の降板という緊急事態を受けての登板であり、プレッシャーは小さくなかったはずだ。
隆家は、藤原道長(柄本佑)の甥であり、伊周(三浦翔平)、定子(高畑充希)の弟という立場。
しかし父・道隆(井浦新)の死後、一族は没落の憂き目を見る。
名門出身のエリートでありながら雅さとは無縁の型破りな存在で、自らの力で欲望や願いをかなえようとする現実主義者。
左遷されても腐らず、臆せず上に物申すだけの強いバイタリティーを持つ人物であり、のちに九州・太宰府で外敵を退ける英雄へと成長していく。
放送が進むにつれ、竜星が演じる隆家への評価は着実に高まっていった。
無鉄砲さと気品をあわせ持つ絶妙なバランスが“はまり役”との声を呼び、キャスティング変更という逆境も、いつしか話題性を超えて確かな評価へと変わっていく。
あえて自らの色を前面に出し隆家を激情型の貴公子として演じ切ったことで、物語の中でもひときわ強い印象を残す存在となった。