同性だと結婚できないのは、出産や育児のための制度だから? 誰の幸せも奪わないはずなのに…「合憲」の高裁判決「でも絶望はしない」

結婚して子どもをつくるという幸せな将来像を描けず、誰にも言えず人生を諦めていた少年時代。飲み会の席で、上司が自分の性的指向をネタのように話していたと知り、深く傷ついた社会人時代。ああ、こういう排除や差別をずっと受けてきたな―。昨年11月28日、東京高裁前で、東京都に住む鹿島真人さん(42)は判決内容を聞きながら、これまでの人生を思い出していた。 

 同性婚を認めない現行の法規定を「合憲」と判断したこの日の東京高裁判決。これまでの6件の高裁判断の中で、唯一の合憲判決だった。少数者であっても堂々と生きていい、幸せになっていいと、自分の存在を制度として包摂し、肯定してくれる判決を期待していたが、かなわなかった。 

 「婚姻制度は子どもの出産・養育が基盤で、同性婚を認めないことは合理性がある」とした理論で合憲を導いた東京高裁判決に、専門家からは「婚姻を出産・育児のための制度へ狭めてしまう」と批判の声が上がる。鹿島さんも絶望はしていない。「同性婚は誰かの幸せを奪うものではない」ことをもっと広めていくつもりだ。(共同通信=細川このみ)
▽選択肢すらない

 鹿島さんが、中国系米国人ザン・クリストファーさん(37)と知り合ったのは、2019年秋に旅行で訪れた台北。日本と海外を行き来しながら交際を続けていたが、2020年、突如新型コロナウイルスが猛威を振るい、日本は入国制限を開始。米国籍のザンさんは日本に入国できなくなり、2020年2月を最後に、2人は丸2年間会うことができなかった。 

 当時、結婚していない外国籍の同性パートナーは入国できない一方、結婚している男女の場合は、外国籍でも隔離期間を経て入国が許されていた。それまで同性婚について「遠い未来の話」と考えていた鹿島さんは、結婚できる男女の夫婦と明確に異なる扱いを受けたことで、自分たちに結婚する選択肢すらない状況に、不安や疑問を感じるようになった。 

 同性カップルがさまざまな困難に直面する現実は、それまでもニュースなどで見聞きしてきた。2014年、日本人男性パートナーと25年間連れ添う台湾人男性がオーバーステイで逮捕され、国外退去処分となった事案。異性の日本人と結婚すれば配偶者の在留資格を得られる可能性が高いが、このケースでは同性であるため結婚できず、在留資格が得られないまま長く不法滞在となっていた。

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