現在Season24が放送中の国民的刑事ドラマ『相棒』。社会派ミステリーの枠に収まらず、SFや人情、時に喜劇まで内包してきた本作には、視聴者の心を強く揺さぶる名エピソードが数多く存在する。今回は400話を超える物語の中から、涙なしでは見られない感動回を厳選して5本紹介したい。第2回。(文・Naoki)
本作は、特命係の優しさが静かに胸に染み入る傑作だ。
1991年に発生した未解決の女子大生殺害事件。
時効まで1か月と迫る中、ラジオ番組にかかってきた一本の電話は、犯人が現在も殺害現場にいることを仄めかす。
一方、末期がんで入院中の元刑事・高岡はラジオを聞いて警察に情報を共有し、無理に体を動かしながら情報収集に明け暮れていた。
高岡はこの事件で陣頭指揮を任されたものの、初動捜査に失敗し、その責任を果たすため、家族をないがしろにしながら病に倒れるまで事件を追い続けてきたのである。
しかし、ラジオの件は当時の恋人が警察を動かすために仕組んだ狂言だった。
だが、その狂言をきっかけに真犯人の関係者が現場を訪れ、捜査は真犯人へと結びつく。
ところが、真犯人はすでに海外で事故死しており、逮捕は叶わなかった。
高岡に真実を告げようとする右京に対し、亀山は「高岡の情報で犯人を逮捕し、身柄を拘束できた」と嘘をつく。
右京も亀山に乗り嘘を重ね、更に高岡と不仲だった娘も捜査一課の計らいで見舞いに来てくれた。
その夜、高岡は息を引き取った。
脚本は岩下悠子で、亀山薫を描かせれば右に出る者はいない存在だ。
母の死に目に来なかった父親を許せないと言う娘の元へ何度も足を運び高岡の病状を伝えたり、最後に高岡に対して犯人を捕まえたと優しい嘘をつくのが実に亀山らしい。
S24「カフカの手紙」で右京が少女に優しい嘘をつく場面も、こうした亀山の姿勢が受け継がれているように感じられ、長期シリーズならではの変化の前段として楽しめる。