ハンセン病とされた男性が隔離施設「特別法廷」での審理を経て死刑判決を受け、執行された「菊池事件」を巡る第4次再審請求審で、熊本地裁は28日、請求を棄却する決定をした。中田幹人裁判長は、事件を巡る特別法廷について「法の下の平等」を保障する憲法14条に違反すると認定したが、確定判決の事実認定に重大な誤認を及ぼさないとして、再審開始を認めなかった。弁護側が新証拠として提出した凶器や親族の供述に関する鑑定も退けた。
事件を巡る特別法廷に関する違憲判断は、2020年に確定した国賠訴訟熊本地裁判決以来、2度目。
決定ではまず、裁判の手続きが違憲というだけでは再審理由にはならず、憲法違反が確定判決の事実認定に関する重大な誤認を及ぼす場合について「再審を開始すべき余地があることは否定できない」との判断を示した。
その上で、最高裁がハンセン病を理由に特別法廷の設置を許可する割合が申請の99%と、それ以外の病気の15%と大きな開きがあり、「合理的理由のない差別」だとして、憲法14条に違反し、同13条が定める人格権を侵害するものだとした。また、審理は強制隔離施設内で開かれたため傍聴が事実上困難であった可能性も否定できないとして、裁判の公開原則を定める憲法82条についても違反する疑いがあると認定した。
一方で、仮にこうした憲法違反がなく、公開法廷で審理されていたとしても、確定判決の証拠関係は変わらないことを踏まえ、今回の事件の審理手続きにおける憲法違反が「確定判決に重大な事実誤認を及ぼすものとは認められない」と判断した。
弁護側は、法医学者の鑑定で、凶器と認定された短刀と傷の大きさが矛盾すると主張したが、決定は、確定審で証拠採用された解剖医の鑑定結果を踏まえ、「矛盾しないものとみる方が自然」と退けた。
また、確定判決の根拠となった男性の親族らの供述を「変遷があり信用できない」と分析した供述心理学者の鑑定についても、「男性から殺害告白を聞いたという核心部分の信用性を低下させることにはならない」とし、無罪を言い渡すべき明らかな証拠とは認められないと結論づけた。