「堤防が決壊するように」介護に疲れて家族を…どう防ぐ?母に手をあげた当事者「相談したことで、さらなる暴力を防げたかもしれない」

先週、千葉県銚子市で88歳の母親を殺害しようとした疑いで逮捕されたのは、60歳の息子。自宅で母親の鼻と口にタオルをかけて圧迫し、殺害しようとした疑いが持たれている。警察によると、母親と2人暮らしで日常的に介護をしていたという容疑者。取り調べに対し、「母親が数日前から息苦しそうだったので楽にさせてやろうと思った」と、容疑を認めている。【映像】母が血を流し…“介護疲れ”で殴り続けた当事者(実際の映像)事件の背景にあるとみられるのは「介護疲れ」だが、実際に、介護している家族や同居人が虐待などをして死亡に至る事例、いわゆる「介護殺人」は、厚労省によると年間30件ほど発生しているというデータもある。介護する側の「声を聴く」「孤立させない」などのケアや支援が必要といわれ、対策が急務となっている介護殺人。どう防いでいけばいいのか。『ABEMA Prime』では、実際に介護をしていた母親に手をあげてしまったことのある当事者と考えた。
科学ジャーナリストの松浦晋也氏は、10年前に介護していた母親に手をあげた経験を持つ。当時について、「ちょっとしたことで苛立つことが延々と続き、自分の中にストレスが蓄積されていった。その勢力が自分の内側で行き先を求め、非常に直接的な暴力の衝動になっていく。理性でいけないと分かっていても、一方で『やったら楽になるぞ』という思いが湧き上がってくる。当時の自分はおかしかったと言えるが、それは人間にとって割と自然な反応な気がしている」と振り返る。

 手をあげてしまった状況については、「堤防が決壊するような感覚で、非常にナチュラルに手が出てしまった。認知症で要介護3だった母が、冷蔵庫から物を出して散らかしたり、冷凍餃子を水に漬けたりといった不可解な行動を繰り返したのがきっかけだ。我に返ったのは母の口の中から血が出ているのを見た時だが、母は数分後にはなぜ血が出ているのか分からなくなっていた。記憶が続かないことで歯止めが1つなくなったように感じ、これ以上は止まらなくなるのではないかと怖かった。その後、妹に相談したことで、さらなる暴力を防げたのかもしれない」と明かした。

 第三者の手を借りようとは思わなかったのか。「一番は母が自宅で暮らしたいという強い意志を持っていたため、できる限りのことはやってやろうとしていた。しかし、それは自分にストレスを溜めることでもあった。ギリギリのところが、暴力という形で決壊した。その時点でケアマネジャーから『これはもう限界ですから、施設に入れることを考えましょう』と判断が出て、動き出した」と答えた。

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