ハンセン病差別の法廷 弁護団「人権侵害、率先して是正を」【連載 「菊池事件 再審の行方」㊤】

ハンセン病患者とされた男性が1952年に熊本県北で元村職員を殺害したとして殺人などの罪に問われ、隔離先の特別法廷で死刑判決を受けて執行された「菊池事件」。熊本地裁は28日に裁判をやり直す再審を開くかどうかの決定を出す。弁護団は司法がハンセン病への差別に加担し、男性を特別法廷で裁いたことが憲法違反に当たり、ずさんな証拠に基づいて有罪にした冤罪[えんざい]だと訴えている。死刑執行後の再審は認められるのか、争点を振り返る。(植木泰士)

 「死刑で亡くなった男性に何と声をかけますか。差別は繰り返さないと約束してください」。昨年11月の参院予算委員会。れいわ新選組の天畠大輔議員が、菊池事件を取り上げた。

 高市早苗首相はこう答えた。「尊厳を傷つけ、筆舌に尽くしがたい苦しみを与えてしまったこと、亡くなった本人、家族の皆さまに対しても深くおわびを申し上げます」

 異例ともいえる首相の謝罪。菊池事件の弁護団は期待を持って受け止めた。「次は司法だ」-。12月に熊本市であった熊本県弁護士会の会合で、弁護団の一人が声を上げた。
ハンセン病を巡っては、2001年に国の隔離政策を違憲とする熊本地裁判決が確定し、政府と国会が謝罪。16年には最高裁が患者らの裁判を隔離先の特別法廷で開いていたことを裁判所法違反と認め、謝罪した。

 特別法廷で死刑判決を下した菊池事件は差別が生んだ冤罪だと指摘され、元患者や弁護団はハンセン病や司法の問題として再審による解決を訴えてきた。

 ハンセン病患者とされた男性が死刑となった菊池事件は、2021年4月に男性の遺族が熊本地裁に再審請求した。裁判をやり直すかどうかを巡り、弁護団が最も重視する争点は、当時の裁判手続きの憲法違反を再審の理由とする「憲法的再審事由」を認めるかどうかだ。

 男性の裁判は、判決を含めて計6回、合志市の国立療養所・菊池恵楓園と隣接の菊池医療刑務支所にそれぞれ設置された特別法廷で開かれた。男性は無罪を主張したが、国選弁護人は検察側の証拠にすべて同意。男性以外は予防衣を着用し、証拠物はゴム手袋をはめて箸で扱った。

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