社員ら100人以上が、顧客から総額約31億円をだまし取るなどしていたことが発覚したプルデンシャル生命保険。生命保険業界で「最強の営業集団」とも称される同社で、なぜこのような不祥事が起きたのか。【画像】超高層! 地上38階建てのプルデンシャルタワー同社の元部長で、現在は富裕層向けの資産アドバイザーとして活動する筆者は、実は在籍当時から「腐敗の予兆」を感じていた。社長の引責辞任にまで発展した今回の不祥事の背景について、私なりにひも解いてみたい。
まず、今回明らかになった問題のあらましを、簡単に振り返っておこう。
プルデンシャル生命が実施した顧客調査によれば、社員および元社員ら106人が、架空の投資話を持ち掛けるなどして、顧客から金銭をだまし取ったり、借り受けたりする不適切な行為を行っていたことが判明した。
被害に遭った顧客はおよそ500人にのぼり、被害総額は30億8000万円。そのうち22億9000万円は返金されていないという。
私は早稲田大学を卒業後、総合商社を経て、2010年9月にプルデンシャル生命に入社し、2019年までの9年間、同社に在籍していた。2015年春には、社内で最高ランクの「エグゼクティブ・ライフプランナー(部長)」に昇格している。
今回の不祥事を知った時、私が大きなショックを受けたのは言うまでもない。基本的に、私はプルデンシャル生命が大好きだ。純粋に「良い人」が多い会社だと感じてきたからである。特にトップレベルで活躍している営業社員には、倫理観が高くて人間的にも素晴らしい人が多い。
にもかかわらず、なぜ被害総額約31億円と極めて大規模な不祥事が起きたのか。ここで注目したいのは、「顧客から金銭を借りたまま返済しなかった」というケースが全体の6割を占めているということだ。
元社員である私の感覚からすると、これは「保険が売れなくて生活ができず、借金をして逃げた」というのが実態ではないかと直感している。
実際、ビジネス誌『ダイヤモンド』(*)の報道によると、逮捕に至った2事案に関与した営業社員の平均年収は600万円前後とされている。年収2000万円を超える社員も少なくない同社の中では、明らかに「売れない営業社員」だ。やや率直な言い方になるが、「売れない暇な営業社員」は何をしでかすか分からない。こうした社員を放置していたという構造が、背景にあった可能性がある。
*『【独自】プルデンシャルがひた隠す「投資トラブル」全6件の全容判明!濱田会長の引責辞任は不可避だった』ダイヤモンド・オンライン、2025年10月16日