福岡3女性連続殺害事件21年、娘が通った北九州市立大学で心理学を学ぶ…犯罪抑止に「つながり重要」

福岡3女性連続殺害事件の犠牲者の一人、福島啓子さん(当時23歳)が刺殺されてから18日で21年となる。父親の敏広さん(69)は今、啓子さんが通っていた北九州市の大学で心理学を学んでいる。加害者や被害者の心理を深く理解し、刑務所などでの講演で生かすためだ。日々、一人娘を思いながら再犯防止に力を注いでいる。(岡林嵩介)
「啓子もこの道を通っていたんだろう」。今月上旬、北九州市立大で講義を受けた敏広さんは帰り道でこうつぶやいた。
かつて家族3人で住んでいた団地、幼い啓子さんと階段を往復して足腰を鍛えた神社、「客室乗務員の夢をかなえるには体力が必要」と学生時代に啓子さんが走り込んだ公園……。思い出をたどるように、市内の自宅から大学までの約4キロを約1時間歩いて通学している。
昨年4月、社会人を対象にした同大の学び直しプログラムに応募して入学。心理学を選択し、週1日、孫世代の学生と並んでノートにペンを走らせている。
講義で強く心に残ったのは、「疎外感は心を冷たく攻撃的にし、人とのつながりは心を優しく、協力的にする」ことを示した心理学の実験。自身は事件後、犯人への憎悪やまな娘を失った悲痛とともに、社会から取り残され、他人との関わりを断ちたい孤立感に襲われた。だが、啓子さんが勤めていた航空関連会社の同僚や友人が絶えず自宅を訪れ、ともに悲しんでくれた。人との結びつきが切れず、独りにならなかった。「だから今は前を向けている」と穏やかな表情をみせる。
こうも考えた。裏を返せば、人は切り離されると「自分などいなくていい」との虚無感が怒りや恨みに変わり、「悪さをしても構わない」といった思考に陥る。疎外感は犯罪の温床になる。被害者の立ち直りにも、加害者を生まないためにも、「つながり」が重要――。「疎外感に潰れそうな人を見過ごさない。あいさつや声かけ一つで、独りじゃないというメッセージを伝えられる」。大きな学びになった。

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