厄介ですね…SNSを使わない阿部寛が「大炎上」して感じたこと

炎上……それは、インターネットやSNSで、特定の人物、企業、投稿内容に対し、批判コメントが殺到し、多くの人に拡散され、収拾がつかなくなった状態を言う。時には捏造や、認識の齟齬で事実が歪められていても、SNSが暴走したら止まらない。やがて虚構が事実に「なってしまう」。映画『俺ではない炎上』は、事実無根の炎上により、殺人犯にされてしまうエリートサラリーマンを描いたスリリングなエンタメ作品だ。本作の主人公同様、「SNSを全くやっていない」という俳優・阿部寛さんにお話を伺った。【画像】芦田愛菜さんは謎の女子大生役として登場
――最新主演作『俺ではない炎上』で、事実無根の炎上で殺人犯に仕立てられ、警察や私人逮捕を狙う動画配信者などから逃げ続ける山縣泰介を演じます。この主人公も、演じる阿部さんも「SNSを全くやらない」という共通点があります。

「やらない理由は特にないんです。あえて考えてみると、私から情報を発信することを一切しない理由は、自分の気持ちや考えが常に変わっていることを、私自身がよく知っているからでしょうね。感情はもちろん、価値観だって状況や経験値によって揺らぎ、変化していく。その“履歴”を残すことは私の性に合わないのです。

SNSを見ることもほとんどしないので、『俺ではない炎上』の台本を読んだ時、わからない言葉だらけでした。“リツイート(他のユーザーの投稿を自分のフォロワーに共有すること)ってなんですか?”とか“リプ(他人の投稿への返信)って?”など、スタッフに聞いていました(笑)

他にも“ハッシュタグ(検索用のタグ)”、“メンション(他のユーザーをタグ付けする機能)”、“DM(直接メッセージを送ること)”など、SNS用語の理解から始まった役作りでした。

とはいえ、日々、スマホは使っていますよ。検索や、地図アプリ、ChatGPT、LINEなどが多いかな。使っていると、技術の進化が目覚ましいことが伝わってくる。使いながらも、いずれ自分の知らないところで、いろんなことが勝手に進んでいってしまう可能性もある、と感じていました。

そんな中、『俺ではない炎上』のお話をいただいたのです。山縣泰介は、SNSをやっていないのに、SNS投稿により、殺人犯であると世間から見なされてしまった。このように荒唐無稽で想像もつかない事件が、おそらく今後は現実にも起こってくるのではないか、と思うのです。この作品は、今の時代に合ったテーマを持つ作品であり、演じてみたい役だと感じました。

あと、最近、強く優秀な人物を演じることが多かったので、久しぶりに「追われる男」役に興味を持ったのです」(阿部寛さん、以下同)

――阿部さんが演じる「追われる男」はシリアスでありながら、どこか滑稽。大手企業の部長から、逃亡する殺人犯になっていくうちに、表情も行動も変わっていき、観客も「本当に殺したんじゃないか」と思ってしまう瞬間も。スリリングな展開でありながら、ほんの少しの愛嬌が空気を緩めており作品に引き込まれます。

「主人公は、いかにも傲慢なエリート。さらに自己中心的に物事を捉えています。SNSの世界では、こういう人物そのものが滑稽なんですよね。そういう人が、SNSでどんどん追い込まれていく。真面目になればなるほど面白さが増すと感じました。

ですから、彼のエリート的な自意識と、そこから生まれる振る舞いを考えつつ、観た人が何を思うかを考えながら、役を作っていったのです。感情の起伏、人間としての強さ、弱さなどにも焦点を当てました。

また、今回、衣装が人物をよく表しており、服に助けられた部分もありました」

――物語の終盤には、衣装をまとわずほぼ裸で撮影されたシーンもあり、阿部さんの肉体美に息を呑みます。

「逃げ続ける男の意志と強さが表れているシーンです。きついとは思っていましたが、12月ですからね、ものすごく寒かったです」

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