大阪・関西万博で、大阪府警の警察官は184日間にわたるイベントの「安全・安心」を黒子として支えた。最も会場が混乱した8月13日夜の地下鉄トラブルでは、トップの本部長の判断で約150人の警察官が会場で夜通し対応した。来年11月には、天皇、皇后両陛下が出席される恒例行事も府内で開かれる。府警は「万博で培ったレガシー(遺産)を生かし、万全の準備をしていく」とする。(桑原卓志)
■難易度高く
「これほど長期の大規模イベントは他になく、警備の難易度は極めて高い」
府警はこうした認識のもと、半年間にわたる万博の警備に臨んだ。万博のために特別編成し、会場内に拠点を置く会場警察隊(約250人)が事件事故の対応や雑踏警備にあたった。
テロの脅威に対処するため、会場周辺にはNBC(核・生物・化学)テロに対応する専門部隊を配置。「ドローン対策部隊」も編成し、ドローンの違法飛行に資機材を使って対処した。
期間中、海外の要人が連日会場を訪れたほか、天皇、皇后両陛下の視察もあったが、目立ったトラブルは起きなかった。会場警察隊による逮捕者は万引き容疑などの10人にとどまり、凶悪事件はなかった。
■見せる警戒
8月13日午後9時半頃、来場者の大多数が利用する大阪メトロ中央線がトラブルで停止した。会場にはお盆休みで大勢の来場者が訪れており、夢洲(ゆめしま)駅前には多くの人たちが滞留し、会場警察隊などが雑踏事故の警戒などにあたった。
「制服警察官を会場に入れられるだけ入れよ」
運行復旧のめどは立たず、混乱が続いていた翌14日午前2時46分、府警の岩下剛本部長は万博担当の当直責任者に指示を出した。会場には親子連れなど1万人以上(推定)が取り残され、吉村知事は岩下本部長の携帯電話に直接連絡し、警備の強化を求めていた。
岩下本部長の指示を受け、機動隊員や此花署員などが会場に急行し、約150人態勢で巡回。来場者に声をかけたり、手荷物が盗まれないよう注意喚起したりする活動を朝まで続けた。