まさかのSOS、弁護士会が「危機に瀕しています」…背筋が寒くなるその真相 「容疑者」に駆け付ける弁護士が激減、「冤罪」を生む恐れ

もしあなたが突然、警察に逮捕され、家族にも職場にも連絡が取れないまま、混乱した状態でいきなり取り調べが始まったら…。誤認逮捕だと自分では分かっていても、冷静に対応するのは難しい。捜査員の誘導する通りに供述させられ、意に沿わない内容の調書にサインしてしまうかもしれない。【写真】「大スキャンダルで、自死するほかない」加害者直筆の口止めの“手紙” 被害者を苦しめる苛烈な二次加害、大阪地検元トップの性暴力事件
そしてそれが証拠となり、冤罪につながる可能性もある。実際、過去の冤罪事件にはそうやって生まれたものもある。
 そうした事態を防ぐために「当番弁護士」は存在する。逮捕直後に駆け付け、最初は無料で相談に応じる。今後の手続きの流れや、対処方法などを助言してくれる。各地の弁護士会が運営し、登録した弁護士に待機日を割り当て、依頼があり次第駆け付ける。

 今、この制度に登録している弁護士が激減している。日弁連によると、2024年は全国で登録割合が32・3%と最低になった。弁護士自体の人数は増えているのにだ。一体、刑事弁護の現場で何が起きているのか。(共同通信=大根怜)

 ▽「やっていられない」

 大阪市の法律事務所で働く40代の女性弁護士は今春、当番弁護士の登録を外れた。約15年前に弁護士になった当初は使命感に燃え、大みそかに留置場に駆け付けたこともある。
 だが子育てが忙しくなり、仕事との両立すら簡単でなくなってきた。勤務時間内に留置場まで出向かねばならない当番弁護士を続けるのは難しくなった。報酬の少なさもネックだ。当番弁護士はそのまま国選弁護人になることが多い。起訴から公判、判決まで早くても数カ月かかるのに、得られる報酬の総額は10万~20万円程度という。とても見合う金額ではない。
「やっていられない」

 弁護士仲間のメーリングリストでも「登録をやめました」と報告する声があがったという。
 ただ制度自体の必要性は理解している。「どんな容疑者でも、弁護を受ける権利はある」。負担の重さに応じた形になって欲しいだけだ。具体的には、当番の割り当て回数に上限を設けたり、報酬が上がったりすること。改善されるのなら再登録も考えたい。

 「留置場に行くだけでもかなりの時間と労力。たとえばモニター越しに容疑者と話ができる『ウェブ接見』が実現すれば、かなり引き受けやすくなると思う」

 ▽大阪弁護士会の悲痛な叫び

 7月、約5千人の弁護士が所属する大阪弁護士会の会員に森本宏会長名のメールが出回った。タイトルは「緊急事態宣言!!助けて!!刑事当番!!」。
 内容は、悲痛な叫びに満ちていた。当番制度への登録者が3年間で約500人減り、日々の当番の割り当ても厳しくなったとして、少なくとも300人程度の新規、もしくは追加登録が必要として、こう訴えている。「制度が危機に瀕しています。あなたの助けが必要です!」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする