今から73年前に熊本で起きた“ある事件”について、来年1月に大きな判断が下されます。
その事件が「菊池事件」。死刑執行後に裁判のやり直しである「再審」が認められれば、日本で初めてのケースになります。
1952年。熊本県の北部にある山道で村役場の職員が刃物で殺害された「菊池事件」。
当時28歳の男性が犯人として逮捕された。被害者は、男性のことをハンセン病患者だと県に告発していた。
国による「ハンセン病強制隔離政策」が進められる中、この告発を恨んでの犯行とされたのだ。
男性は無罪を訴えるも、熊本地裁は死刑を宣告。
証拠とされたのは、親戚の家の小屋で見つかった凶器とされる「短刀」と、男性から犯行を告白されたとする「親族の供述」だった。
男性は控訴したが死刑が確定。そして1962年に執行された。
死刑執行から59年後の2021年に遺族が再審請求を行い、熊本地裁で弁護団と熊本地検との協議が続いてきた。
1月に下される地裁の判断。果たして再審の扉は開かれるのか。
(KKT中村圭一デスク)
日本の裁判史上、死刑囚が再審無罪となった例がこれまでに5件あります。
熊本で起きた冤罪「免田事件」の免田栄さんから2024年の袴田巌さんまで5人です。
(緒方太郎キャスター)
いずれも無罪を勝ち取るまでに長い歳月がかかりましたね。
(中村デスク)
一方で、これまで1件も認められていないケースがあります。「死刑執行後の再審無罪」です。
死刑が執行された人を無罪にするということは、裁判所が「誤った判決によって罪のない命を奪った」と認めることになるからです。
(緒方キャスター)
弁護団はどうやって再審を勝ち取ろうとしているのでしょうか。
(中村デスク)
主に2点を訴えています。1つ目は“新たな証拠”です。有罪とされた根拠は、①凶器とされる「短刀」と②犯行を打ち明けられたとする「親族の供述」でした。
弁護団は新たな証拠として、遺体に短刀ではできない傷があるとする法医学者の証人尋問から、「この短刀は凶器ではない」と主張。
親族の供述は警察に誘導されたものだとする心理学者の証人尋問から、「信用できないもの」としています。
(永島由菜キャスター)
有罪の根拠を否定して無罪と立証するわけですね。
(中村デスク)
2つ目の主張が「元々の裁判が憲法違反である」というものです。男性の裁判は、ハンセン病を理由に隔離された「特別法廷」で開かれました。
法廷内でのハンセン病患者に対する差別を示すような証言映像が残っています。