及川光博が主演、手越祐也が共演する日本テレビ日曜ドラマ『ぼくたちん家』。本作は、心優しきゲイの玄一と、恋にも人生にも冷めた中学生教師でゲイの索、そして索の生徒で“トーヨコ”に通う中学3年生ほたるの奇妙なホームラブコメディだ。今回は、第8話のレビューをお届け。(文・苫とり子)【写真】及川光博&手越祐也がお似合いすぎる…貴重な未公開写真はこちら。『ぼくたちん家』第8話劇中カット一覧
突如、パトカーで玄一(及川光博)を警察署に連行した松(土居志央梨)。
その目的は、遺失物として届けられた玄一の家族である亀のどらを受け渡すためだった。胸を撫で下ろしたのもつかの間、玄一の不審な行動がきっかけでほたる(白鳥玉季)との親子のフリが松にバレてしまう。
『ぼくたちん家』第8話は、いわば松の張り込み日記。初めから玄一を悪い人間だと決めつける松だったが、「見ないと分からないこともある」という井の頭(坂井真紀)の言葉に従って、まずは彼の生活を観察することに。そこで白でも黒でもない、グラデーションの世界を知っていく。
玄一と索(手越祐也)は絶賛家探し中。東京23区内、3LDK、徒歩15分以内、ペット可など、2人の希望に当てはまる物件の値段はどれも住宅ローンの借入可能額をゆうに超えており、不動産屋の岡部(田中直樹)から条件の見直しを求められる。
得てしてドラマの登場人物たちは想定される年収よりも遥かにいい部屋に住んでいるが、これはかなりリアル。
現実との折り合いをつけつつ、納得のいく物件を探すのは簡単なことじゃない。物件を見れば見るほど正解がわからなくなって、迷宮入りすることも。
時を同じくして、パートナー相談所の百瀬(渋谷凪咲)、ほたるの父・仁(光石研)、索の元カレ・吉田(井之脇海)もその壁にぶつかり、岡部はあえて3人の条件に全く当てはまらない井の頭アパートをオススメする。
かくして玄一、索、ほたるの関係者が井の頭アパートに大集結。そこに痺れを切らした松が乱入し、玄一の事情聴取を始める。
張り込みで玄一と索が恋人同士であること、特別でも何でもない日常を送っていることを知った松。ただ唯一わからなかったのが、玄一がほたるの父親のフリをしていた理由だ。
「子育てしてみたかったんですか?」とそれに続く心ない言葉で一瞬、時が止まったかのようだった。
もちろん松に悪意はなく、ただ純粋に警察官として動機の一つの可能性を挙げたに過ぎないのだろう。
けれど、その疑問を何の躊躇いもなく、かつみんなの前で投げかける松の配慮のなさに、性的マイノリティの人たちが置かれた現実を垣間見た気がした。
玄一は鋭利なナイフで胸を刺されたかのような表情で「そうじゃない、とは言い切れないです」と返す。そんな玄一をとっさに庇う周りの人たちの言葉に救われた視聴者も多いのではないか。
特に百瀬の「恋と革命のために生きてるんです、私たちは!」という台詞は、本作を貫くテーマと言えるだろう。
価値観を押し付けてくる世間や人々と闘い、好きな人やものに囲まれた自由な生活を手にすること。それが、このドラマが第1話から描いてきた“恋と革命”だ。