香港立法会選挙、民主派も中間派も候補ゼロ 愛国者のみ立候補可能に…高層住宅群火災批判でも拘束「民主主義は完全に消えた」

香港の立法会(議会、定数90)選挙が7日に実施される。「愛国者」だけが立候補できる制度が2021年に導入されてから2回目の選挙で、今回は民主派だけでなく、中間派の候補もいない。11月26日に発生した高層住宅群火災では政府の監督が不十分だったとして「人災」との批判がくすぶるが、民意は選挙には反映されず、市民や民主活動家からは諦めの声が漏れている。■ 劉祖廸さん「香港から民主主義は完全に消え、反対する人たちも消えた。立法会には政府を監視する力がないので選挙は無意味だ」。香港で民主化運動に参加し、現在は英国に亡命している劉祖廸さん(32)はオンライン取材に、こう指摘した。
前々回16年の立法会選挙で民主派は当時の定数70に対し、30議席を占めた。その後、当局は民主派への締め付けを強めて制度改正し、立候補には親中派で構成される「選挙委員会」の委員10人からの推薦が必要となった。21年の前回選挙で中間派は1人が当選したが、今回は中間派の候補もゼロになった。

 測量士だった劉さんは19年の民主化デモに参加し、翌20年に一時拘束されたことを機に英国に亡命。23年には当局から100万香港ドル(約2千万円)の懸賞金をかけられている。現在は英国を拠点に香港の人権状況を監視する団体「ホンコンウオッチ」のアドバイザーを務める。

 劉さんは今回の高層住宅群火災に関し、20年に施行された香港国家安全維持法(国安法)との関連を指摘する。「国安法で逮捕されるのを恐れて市民は声を上げられず、メディアも真っ正面から調査や報道ができない」と訴える。
高層住宅群火災で労働当局は発生前、建物の補修業者に防火対策の不備を警告し、作業員のたばこの危険性も指摘されていた。火災後、交流サイト(SNS)では香港政府の対応を批判する声が相次いだが、政府は「逮捕」を使って、批判の“封印”に動いている。

 香港当局は11月末、インターネットや路上で「政府高官の責任追及」などを求める署名を呼びかけた発起人の男性や元区議の男性らを拘束。地元メディアによると、「火災に乗じて政府への憎悪を扇動した」などの疑いがかけられている。現場近くで物資を配布していたボランティアも排除された。香港政府トップの李家超行政長官は今月2日、「社会の団結を破壊しようとする者がいれば、全力で法に基づき処罰する」と表明した。

 前々回まで50%台だった投票率は前回は約30%まで下落。当局は投票時間を延長するなどして投票を呼びかけるが、市民の間にはしらけたムードが漂う。香港に住むある女性は「投票に行く意味がないので当日は行かないだろう」と話した。

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