【香港=遠藤信葉】香港北部の大埔区の高層マンションで26日に発生した火災で、香港当局は27日午前、少なくとも44人が死亡したと発表した。279人と連絡が取れなくなっており、犠牲者がさらに増える可能性がある。計7棟が燃えて消火活動は難航し、27日午前現在も鎮火していない。
複数の香港メディアによると、火災は26日午後3時頃に発生。現場は30階を超える8棟の公営マンションが立ち並び、このうち7棟に燃え広がった。
マンションは1983年に完成し、昨年7月から大規模修繕工事を行っていた。建物周囲に組まれた竹製の足場から火が出たと消防に通報があったという。
消防当局によると、建物の周囲を覆う防護ネットなどをつたって火が燃え広がった。8棟には約2000戸が入居し、4000人以上が暮らしており、逃げ遅れた人が多数いる模様だ。在香港日本総領事館によると、日本人が巻き込まれたとの情報は入っていない。
延べ140台以上の消防車と60台以上の救急車が出動し、消防士ら800人以上が投入された。消火活動は夜を徹して行われたが、27日に記者会見した消防当局者によると、上層階の消火が難航しているという。消防隊員1人も死亡した。
出火原因は特定されていないが、修繕工事が防災基準を満たしていなかった疑いが指摘されている。香港の警察当局は、修繕工事を請け負っていた会社に「重大な怠慢」があったとして、会社の幹部3人を過失致死の疑いで逮捕した。
香港では、伝統的に建築現場の足場として竹が使用される。軽量で強度が高いことなどから、狭い土地に古い建物が密集している香港では、重量のある金属製の足場よりも利便性が高いため広く使われてきた。
ただ、防火や耐久性など安全性を疑問視する声もあり、香港政府は今年3月以降に入札された公共の建築物を建築する際は、金属製の足場の使用を義務づけると発表していた。
香港当局の発表によると、香港では火災発生時の延焼を防ぐため、足場の建設や防護ネットなどの資材について、燃えにくい材料の使用を求めている。10月には、建築業者に対し、建設資材が定められた要件を満たしているか確認するよう通知していたという。