20~30歳代の若者らに、不動産投資の目的を隠して住宅ローンを申し込ませ、複数の金融機関から繰り返し融資金をだまし取ったとして、男女16人が詐欺容疑などで埼玉県警に逮捕された。融資額を大きくするため、ローン申込人の年収は実際より高額に装っていたという。関係者の証言などからは、不動産の知識に乏しい若者が不正に加担させられる構図も浮かぶ。(さいたま支局 徳原真人、斎藤秀)
16人は、東京都江東区、不動産会社役員で指示役の被告(37)(詐欺罪などで公判中)ら20~40歳代の男女。住宅ローンは居住目的でないと組めないのに、投資目的の若者らに自宅購入を装って申し込ませたとされる。融資金は申込人を経て、指示役の被告や別の不動産会社「IBエステート」(東京都千代田区)の経営陣らのグループに渡っていた。
東京や神奈川にある6か所の土地・住宅を購入する名目で、2023年に融資金をだまし取ったなどとして、県警は今年9月までに16人を逮捕。ローンを申し込んだ6人も詐欺容疑などで書類送検した。起訴された6件(未遂を含む)で融資総額は約3億円に上る。
捜査関係者によると、グループは住宅を新築して貸し出す「不動産投資」をうたい、若者を申込人に仕立てていた。賃料収入が毎月、ローン返済額を数万円上回ると説明していた。
若者に多額のローンを組ませるため、年収を実際より高額に見せかける偽装もした。不動産業界で「ふかし」と呼ばれる手口だ。
申込人の年収が500万円の場合、別会社で働いた副収入が200万円あると装い、年収を700万円とする源泉徴収票を作成。税務署に確定申告書を出し、自治体から課税証明書を得て、源泉徴収票とともに金融機関に提示させていた。
副業先はグループに関係のある会社にしていた。年収の水増しで増える税金はグループが負担していた。
グループのメンバーは役割を分担していた。若者を誘い込む「紹介役」や源泉徴収票などの「偽造担当」、申込人に代わってローンの手続きを進める「金融機関担当」などだ。申込人の委任状は無断で作っていた。