刑務所や少年院を出た人らに働く場を提供する「職親(しょくしん)プロジェクト」が今年度末での参加企業1500社を目標に活動を広げている。今年7月までに1000社を超え、現在は1300社超。関西の7社でスタートした取り組みが全国に浸透してきた。(川崎絵莉子)【写真】作業中の利用者に声をかける小川さん
「うまく作業はできてる?」。大阪府東大阪市の障害者就労施設「ハッピーワーク」で、従業員の小川和真さん(30)が、商品の袋詰めなどに取り組む障害者に笑顔で声をかけていた。
小川さんは元受刑者だ。中学生の頃から窃盗を繰り返して逮捕された。少年院や刑務所を出ても頼れる人がおらず、また罪を犯した。
今の施設で働くようになったきっかけは3年前、刑務所の就労支援担当者に勧められ、プロジェクト参加企業で高齢者・障害者支援施設を運営する「キョーエイグループ」(大阪府東大阪市)の採用に応募したことだ。
これまで職に就いても長続きしなかったが、同グループでは内定後に担当社員らが刑務所に何度も面会に来てくれた。入社後に、さぼって休みがちだった時期も、同僚らが「いいかげん、暇だろ」と優しく声をかけ、励ましてくれたという。
プロジェクトでは参加企業に、職場で元受刑者であることを隠さず雇用するよう呼びかけている。小川さんは、以前の職場で同僚に過去を明かして距離を置かれた経験があり、「今の職場は包み隠さず話した上で、信頼してくれている。利用者にも『ありがとう』と感謝され、やりがいを感じる」とうれしそうに話す。
プロジェクトは2013年2月にお好み焼きチェーン「千房」(大阪市)の中井政嗣会長(80)の呼びかけで、日本財団(東京都)と関西の7社でスタート。刑務所や少年院での採用面接、施設での就職説明会、職業体験などに取り組んできた。
参加企業は20年度は関西を中心に200社弱だったが、活動が軌道に乗ったこともあり、全国的な組織作りに着手。21年度から5年間で1500社に増やす目標を設定し、活動網を広げてきた。