「当事者によるキャスティングが絶対に必要」映画『ブルーボーイ事件』飯塚花笑監督&中川未悠インタビュー

かつて日本で、性別適合手術が違法か合法かを争った裁判があった。この事件に着想を得た映画『ブルーボーイ事件』が公開。映画化にあたり「当事者によるキャスティングが絶対に必要」との強い意志で臨んだ飯塚花笑監督と、本作のオーディションで演技に初挑戦し、主人公のサチに抜擢された中川未悠さんに話を聞いた。(取材・文:望月ふみ)・【写真】映画『ブルーボーイ事件』劇中カット一覧
ーー海外でLGBTQ+の登場人物を当事者が演じることが増えてきたことに対し、飯塚監督は3年ほど前に「日本の映画界ではLGBTQ+をめぐる問題が一般社会よりも遅れており、当事者が演じるという段階にまったく至っていない」とお話されていました。

飯塚花笑監督(以下:飯塚)「はい、覚えています」

ーーそこからまだ数年ですが、本作では中川さんをはじめ、オーディションで選ばれた当事者の俳優さんが、メインキャストを務めています。日本の映画界が変わってきたのでしょうか。それともここで変えなければと動かれたのでしょうか。

飯塚「“変わってきた”という感覚のほうが強いと思います。以前よりも風通しがよくなってきていて、海外での『当事者キャスティングは当たり前だ』といった風潮が、いい具合に日本にも入ってきてくれているというのは大きいと思います」
ーー主人公のサチ役は中川さんが演じました。自身の性別適合手術を受けるまでのドキュメンタリー映画『女になる』(17)への出演はあったものの、いわゆる劇映画での演技は初披露です。

飯塚「1回演技を見させていただいて『はい、即決』というオーディションでは無理でした。そこで長期的に練習する時間を作っていただき、そもそも俳優として持っている基礎能力を見させていただきました。中川さんは、関係者がずらっと並んでいるような場所でも、サチとして立っていました。もちろん緊張されていたとは思うのですが」

中川未悠(以下:中川)「心臓バクバクでした」

飯塚「でもちゃんとサチの心情でそこにいるのが見えました。かつ、こちらが投げかけた言葉に対してすぐに反応できる勘の良さがあって、心を動かされました」

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