不確かな情報を信じた人たちが、SNSでその情報を広め、特定のターゲットを攻撃することがある。
昨年11月の兵庫県知事選で、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)(名誉毀損(きそん)容疑で逮捕)は、竹内英明前県議(1月に死亡)を名指しし、「デマを撒(ま)き散らして、有権者を騙(だま)そうとしていた」などと批判した。その発信内容は、X(旧ツイッター)やユーチューブで大量に拡散された。
SNSでは、似た考えの人とつながることで、考え方が偏る「エコーチェンバー」の現象が起きやすい。
神戸市で衣料品店を営む男性(61)は、知事選で立花容疑者らのSNSなどに触れ、「事実に近い」と考えるようになった。今も「竹内氏が斎藤元彦知事を引きずり下ろそうとした首謀者」と信じる。記者が12日、立花容疑者の逮捕への思いを尋ねると「やり過ぎた面はあるが、国家権力に刃向かうと、出る杭(くい)は打たれるということなのか」と話した。
東洋大の小笠原盛浩教授(社会情報学)は「事実と比べて偽・誤情報には不安や怒りなどの感情を揺さぶるものが多いため、広まりやすい」と指摘。投稿者が過激な動画などで再生回数を稼ぎ、収益を得る仕組みが課題だとしている。
この構図は、その後の選挙でもみられる。
「売国的」「悪行14選」――。10月26日に投開票された宮城県知事選では、現職の村井嘉浩氏の顔写真にこうした文言を記した画像がSNSで広まった。顔には赤色で「DANGER」の文字が重なるように配されている。
書かれた内容には事実と異なるものがあった。村井氏は大規模太陽光発電施設「メガソーラー」事業への反対を明言していたが「大歓迎」と記載。「宮城県をザンビアのホームタウンに!」との記述は誤りだった。
村井氏は当選が決まった直後の取材に、「私が言っていないことが広がり、『売国奴』『メガソーラーやるんだろう』と言われた。否定しても信じてもらえなかった」と語った。