東京都文京区湯島の個室マッサージ店でタイ国籍の12歳の少女が性的サービスをさせられていた事件で、警視庁が児童福祉法違反(ぐ犯者引き渡し)容疑で、台湾で収容されている少女の母親(29)の逮捕状を取ったことが同庁幹部への取材でわかった。
事件の背景には、タイの農村の貧困がある。少女の祖母(65)が一家の暮らしについて本紙に語った。(タイ北部ペッチャブーン 水野哲也、写真も)
少女は首都バンコクから北に5時間のペッチャブーン県の農村で生まれ、トタンで覆った家で祖父母と暮らした。母親は少女が幼い頃からバンコクなどに出稼ぎに出て、工事現場やタイの古式マッサージ店などで働いた。毎月約1万円の仕送りが、家族の唯一の収入源だった。少女の祖母は「家族のために懸命に働き、帰省時には必ずお土産を買ってきた優しい母親だった」と語る。
母親は約2年前から海外で働くようになった。今年6月に帰省した際、「日本で産んだ子供を迎えに行く」と言って、少女と共に日本に向かった。少女は初めて乗る飛行機での日本渡航を楽しみにしていた。
母親は赤ん坊を連れて村に戻ったが、少女は日本に残したままだった。母親は「娘の航空券が買えなかった」と語り、「娘の帰国費用を稼ぐため台湾で働く」と言って村を出たという。警視庁の調べによると、少女は来日してそのまま母親に店に連れて来られ、性的サービスに従事させられた。少女は祖母に通話で「赤ちゃんの面倒を見ている」と話したという。
タイの地方にある農村では、農業や畜産以外に職が乏しい。住民は子供を祖父母らに預けて都市部や海外に働きに行き、仕送りで家族を支えることが多い。9月に保護された後、少女は警視庁に「家族が生活できないと思い、我慢するしかなかった」と話したという。
少女は村の小学校で学んだ。担任だった教師(55)は「サッカーで遊ぶことが好きな普通の子供で、大きな衝撃を受けている」と話した。