積もった糞尿40、仲間は餓死…地獄を生き抜いた保護犬と杉本彩が訴える「動物虐待の厳罰化」

2025年3月、警視庁は、2024年1年間に動物虐待検挙数が160件あり、182人が逮捕・書類送検されたと発表した。2023年よりも減少はしたものの、2020年以降、高止まりをしている状態だ。【写真】糞尿まみれの環境で見つかった頃のペロちゃんと今の姿「この数値は検挙や逮捕・書類送検されたもの……、虐待は見えないところで行われ、隠されてしまうことが多いので、この数値は氷山の一角といえるでしょう。しかも、現在の動物虐待罪はあまりに軽く、矛盾を感じる点も少なくありません」

そう語るのは、長野県松本市の繁殖事業者の事件など、動物虐待事案の告発や、動物福祉向上に関する普及啓発活動を積極的に行い、『公益財団法人動物環境・福祉協会Eva』の主宰でもある俳優の杉本彩さんだ。

Evaでは、9月20日〜26日の動物愛護週間に毎年テーマを決めて発信をしている。今年は、動物虐待の問題について伝えていこうと思った杉本さんの想いを、ブリーダーの多頭飼育崩壊で地獄の現場で生き抜いた「ぺろちゃん」の出来事とともに、寄稿いただいた。

以下より、杉本彩さんの寄稿。
毎年私たちEvaは、環境省が定める9月20日〜9月26日の「動物愛護週間」に向けて、啓発ポスターとチラシを作成している。設立2年目の2015年から続けているので、今年でかれこれ11回目だ。毎年、今回はどのようなテーマにしようかと、その時の動物情勢や事件を参考に、私たちがその時訴えていきたいものをテーマにする。

今思うと10年前、世間では「ペットを大切に」とか「動物を幸せに」といった耳障りのいいフレーズが多かった。だが私たちの思いは、ではなぜペットが大切にされないのか、なぜ幸せになれないのか、という根っこの問題について広く知っていただきその原因について考えてほしいとつねづね思っていた。

私は、Evaを立ち上げた当初から、大量生産・大量流通で成り立つ生体展示販売、そして仔犬仔猫を衝動買いして、「世話が大変だ」「こんな筈じゃなかった」「飽きた」を理由に、飼育放棄に繋がるペット流通問題に疑問を感じていた。もちろんペットショップから購入しても、家族として愛情を注ぎきちんと飼育する方もいるが、そうでない人も一定数いる。そういったことから、2015年に初めて作ったポスターとチラシは、臆せず「命をお金で買わない。」をキャッチコピーにした。覚悟の上ではあったが、案の上、この時ほど「過激な動物愛護団体だ」と世間から叩かれたことはない。

だが、今はどうだろう? 各地の動物愛護の講演会に伺った先々で、また当協会のお問い合わせフォームで、SNSのコメント欄など様々なところで、「どうしたら生体展示販売をなくすことができますか?」「私に出来ることは何がありますか」と、多くの方が2015年当時あれだけ批判を受けた「命をお金で買わない。」ということに共感している。

まさに、「啓発は一日にして成らず」、長くかかるがこれが啓発活動なのだとつくづく思う。

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