西日本を転々、1億円荒稼ぎか メンズエステで客を恐喝 県警が誓約書や示談書押収、背景を捜査

熊本市のマンションやアパートでメンズエステ店を営み、利用客に対し「女性従業員の体を触った」と因縁をつけて現金を脅し取ったとして、熊本県警が恐喝などの容疑で男2人を逮捕した。2人は西日本各地を短期間で移転しながら同じ手口で、1億円超を〝荒稼ぎ〟していたとみられる。県警は暴力団などに資金が流れていないか、実態を調べている。

 2人はいずれも住所不定のメンズエステ店経営の男(23)、メンズエステ店従業員の男(25)。熊本東署などが8月以降、男性客4人への恐喝や恐喝未遂などの疑いで3回逮捕した。

 逮捕容疑は昨年12月~今年8月、熊本市中央区新大江のマンションなど3カ所の店舗で、客4人にそれぞれ「女性従業員の体を触った」「職場や家族にばれるぞ」などと迫り、「示談金」を要求。1人から現金100万円、別の1人から現金26万円をそれぞれ脅し取り、他の2人からも脅し取ろうとした疑い。

 署によると、被害者の熊本市の男性(19)は2月、顔を隠して胸元を露出した女性らが写った店のウェブサイトを見て、メールで利用を申し込んだ。当日、中央区帯山のアパートで女性従業員のマッサージを受けた後、従業員の男が現れて「100万円払え」と迫ったという。男性は支払いを拒み、110番通報した。
容疑者2人は利用客らに「品性に欠ける行動、発言、ボディータッチをしない」などとする誓約書に署名させ、一方で女性従業員には客が体を触るよう仕向けさせていたとみられる。被害者には、消費者金融やコンビニで現金を工面させていた。

 容疑者2人は昨年11月~今年8月、岡山県から鹿児島県にかけての西日本各地を2~3カ月おきに移動しながら、賃貸マンションなどで店を営業。県警は示談書や誓約書約300枚を押収しており、同様の手口による被害総額は1億円を超えるとみている。

 2人が逮捕された恐喝事件が起きた熊本市のマンションなど3カ所は、店の営業に使うことを隠して別の人物が借りていたという。

 「恥ずかしいことを他人に知られたくない心理につけ込んだ、悪質な手口だ」と捜査幹部。県警には約30件の被害相談が寄せられているが、「誰にも相談できずに泣き寝入りしている被害者がほかにいるのではないか」とみる。

 メンズエステ店を巡っては、この2人以外の事件も相次いで摘発されている。
熊本中央署などは9月、熊本市のマンションで店を営むことを隠して不動産会社と賃貸借契約を結んだ詐欺の容疑で男2人を逮捕。熊本南署なども9月、県条例の禁止地域にあるマンションの1室で性的サービスを提供する営業をした風営法違反の容疑で男2人を逮捕した。

 県警は、こうした違法営業の店が暴力団や匿名・流動型犯罪グループの資金源になっていた可能性も含めて背景を調べている。別の捜査幹部は「正規の店舗を持たずに客を住居用アパートなどに誘導するエステ店は、トラブルに巻き込まれる危険性が高い」と注意を呼びかけている。(小山智史、清水咲彩、佐藤千尋)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする