《幼い生贄の生き血をすすった》エプスタイン陰謀論「悪魔崇拝儀式」を“真実”として受け入れてしまった欧米社会の混乱とは

エプスタイン事件には、事実に基づく「表」と、その事実が証明されることにより真実味を強めた陰謀論である「裏」がある。【衝撃写真】熱狂的にシェアされたAI生成の悪魔崇拝儀式、クリントンやヒラリーが映り“陰謀論”が加速した
「表」とは、司法により事実と証明された少女たちへの性虐待。しかし以前から、「裏」の陰謀論である”悪魔崇拝儀式の噂”が世間に広まっていた。

「児童や幼児の生け贄が捧げられ、その生き血をすすっていた」

 そんな陰謀論の標的となったのが、2016年の大統領選挙でトランプ大統領と敵対するヒラリー・クリントンをはじめとした民主党議員らだ。儀式の写真も流出したが、その多くはAIにより作成されたフェイクであり、その真意が証明されたことはない。

 ただし、当初は少女への性虐待も陰謀論のような噂として扱われていた。それが真実だと証明されたことで、「もっと隠されている事実があるはずだ」と欧米社会への陰謀論蔓延を招いてしまった。 この事件に翻弄される欧米社会の実態を、『エプスタイン文書で暴かれた世界の闇』(宝島社)より、一部抜粋して再構成する。(全5回の第4回)
エプスタイン事件には、「表」と「裏」がある。

 表は、NetflixやAmazonプライムビデオでドキュメント番組になった未成年少女への性虐待事件だ。エプスタインが少女たちを言葉巧みにだまして、いくどもレイプしてきたことが被害者の告発と当局の捜査で明らかとなった。これがメディア報道を含めて「ファクト」から導かれた事件の全容であり、現在、公開されているエプスタイン文書で性虐待の実態が次々と肉付けされている。

 そして裏となるのが、「悪魔崇拝の儀式」という陰謀論である。

 エプスタインの性虐待現場の中でも、”エプスタイン島(リトル・セント・ジェームズ島)”は周囲を海に囲まれた隔絶した空間だった。他者の目がほとんど届かない地理的状況だった分、「エプスタイン島には秘密の施設と、絶対に表に出せないほどの残酷な悪魔崇拝の儀式が行われていた」という噂が陰謀論界隈で発生した。

 陰謀論は社会的にはアングラ情報であり、たとえ事実だろうとデマとして扱われる。厳密な信憑性を求められないために、刺激に満ちたあらゆるアングラ情報が集まるからだ。その中で、エプスタイン事件の裏となる悪魔崇拝儀式の噂は2000年代半ばから囁かれ始め、2019年のエプスタインの逮捕と自死で、陰謀論界隈の大きなトピックスとなっていく。

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