独特のダミ声とユーモアを交えた話術で聴衆の心をつかんで離さず、『演説の名手』として知られた田中角栄元総理。
BSN新潟放送に残る貴重な映像から、角栄節をよみがえらせました。【写真を見る】「国家の尊厳と内閣総理大臣の威信を守る」【田中角栄の第一声】実刑判決直後の“ロッキード選挙”『昭和58年 衆議院議員総選挙』今回は、1983(昭和58)年12月8日に執行された衆議院議員総選挙での、田中角栄の第一声演説をお送りします。
当時65歳の田中角栄は、自身の関与が疑われたロッキード事件の第一審で実刑判決が下されたばかりでした。
そのような中で角栄は、「何もかも投げ出したいという気持ち」があったと告白した一方で、「私には日本の国家としての尊厳と、内閣総理大臣という職の威信を守らなければならない責務がある」と力強く訴えています。
(1983年12月3日収録)
■“ロッキード選挙”での田中角栄 第一声
大変ご無沙汰を致しました。田中角栄でございます。
戦後16回目の総選挙が、今日公示されたわけであります。
昭和22年の新憲法下、第1回の選挙に当選をしたときは、28歳でございました。
それから14回当選をさせていただき、37年の歳月を経たわけでありますので、65歳となったわけでございます。
私は60までなど、とても政治家の生命は続くものではないと考えておったわけでありますが、65歳になってもまだ政治を続けよ、続けなければならない、こういう状態でございます。
■男女の年齢は50%増えた
昭和21年、私が(初めて)立候補いたしましたときは、男女の平均寿命は49歳11か月、すなわち50歳でありました。ところが現在は74歳でありますので、ご承知のとおり、37、8年の間に男女の年齢は50%増えたわけであります。
しかも婦人の平均寿命は78歳でありますから、婦人は80歳以内では死なない、これが現実であります。1歳で亡くなる人、途中で亡くなる人も全部含めての平均でありますので、男は80歳、女は90歳まで生きるようになります。
だから世界第一の長寿国となり、老人問題が最大の政策として論じられておるのは、この事実によってであります。