■終わらない被害
「見ず知らずの少年に突然襲われて、頭や肩、胸、背中、もう上半身複数か所を刺されて、殺されてしまいました」【写真をみる】野球のユニフォーム姿の将太さん 神戸高校生刺殺事件そう語るのは、ある日、突然、最愛の息子の命を奪われ被害者遺族となった、神戸市の堤敏さん(67)です。
堤さんの次男で、当時高校2年生だった将太さんは、2010年10月4日の夜、自宅近くの路上で、当時17歳の少年にナイフで頭や首などを刺されて殺害されました。
将太さんを殺害した少年は逃走し、事件から約11年後の2021年8月4日に、殺人容疑で逮捕されました。2023年6月の一審で、元少年の男に懲役18年の判決が言い渡され、控訴審、最高裁への上告を経て、刑が確定したのは昨年(2025年)10月でした。
事件から16年目を迎え、堤さんは「犯罪被害者遺族が突き付けられる現実」「終わらない被害」そして「被害者支援の在り方」について訴えました。
■事件から時間は止まったまま
突然日常を奪われたあの日から、父親の敏さんの時間は止まったままです。敏さんは、最愛の息子を失った事件当夜の状況を、こう語り始めました。
(堤 敏さん)
「事件は2010年、平成22年です。10月4日の夜、午後10時45分ごろ、神戸市北区筑紫が丘4丁目というところの路上で発生しました。被害者は私の息子、次男です。名前は堤将太といいます」
「事件当時16歳、高校2年生でした。私には4人の子どもがいて、次男の将太は4人きょうだいの末っ子でした。上には成人した娘が2人いて、その下に大学生の兄貴、長男がいて」
「家族っていうより、きょうだいみんな仲が良くて、ほんとに家族みんなに可愛がられて育った、ほんとになんか末っ子らしい末っ子、『ザ・末っ子』っていうような子どもでした」
■将太さんは女子生徒に「逃げろ」と叫ぶ
家族に愛され、優しい青年に育っていた将太さんを襲った突然の悲劇。敏さんは、目を背けたくなるような事件当夜の凄惨な状況と、将太さんが最期にとった行動について明かします。
(堤 敏さん)
「その日、息子は当時、仲の良かった近所に住む女子生徒と2人で話しているところ、見ず知らずの少年に突然襲われて、頭や肩、胸、背中、もう上半身複数か所を刺されて、殺されてしまいました」
「死因は失血死。首の傷は頸静脈を傷つけて、肩や胸の傷は神経や筋肉を切断して、そのナイフの刃先は肺にまで達していました」
「凶器は、刃の長さ7.9センチの折りたたみ式の果物ナイフ。刺し傷のほとんどがナイフの刃よりも深く、大きいものでした」
「刃の長さを大きく上回る、深さ10センチを超えるような傷まであって、司法解剖を行った医師の所見によると、刺された傷のひとつひとつ、どれを取っても致命傷になりうるようなものだ、ということでした」