館山署と安房消防は23日、同署で合同訓練を実施した。夏場を迎え、さまざまなトラブルや事故の発生が懸念される中、警察は護身術を、消防は一次救命処置を互いに教え合い、緊急事態における相互の連携強化を図った。
同署によると、管内では近ごろ、騒音問題や祭礼に伴うトラブルなどの通報件数が増加傾向にあるという。重大事故の現場では、警察官と救急隊員が同時に駆けつけるケースも多く、現場での円滑な初動対応と双方の安全確保が不可欠となっている。両機関の現場対応力を底上げし、互いの業務への理解を深める目的で今回の相互指導による合同訓練が企画された。
訓練前半の逮捕術・護身術の指導では、県警術科指導者の中川久美子教師が講師を務めた。指導では、反射反応を速める訓練や、接近時のけがのリスクを下げるための「体裁き」などを実践。
特に泥酔者などに対応する際、正面から接近すると殴る蹴るの暴行や唾を吐きかけられる被害に遭う恐れがあるため、対象者の側面から近づき、肘や手首を抑え込んで動きを抑制しながら安全な搬送へつなげる技術が共有された。
後半は、消防側が警察官に一次救命処置を指導した。「自動車が歩行者をはね、運転手自身も負傷している」という緊迫した交通事故現場を想定し、ロールプレーイング形式で実施。現場に先着した警察官が迅速に119番通報を行い、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)の操作、応急手当を行う一連の流れを確認した。また、活動性出血がみられる場合には、傷口を骨に向かって強く押し当てて止血するといった、より実践的な技術も伝えた。
訓練を終え、同署の大木賢署長は「お互いの顔が見える関係を作ることは、実際の現場で活動する上で非常に重要。この取り組みを今後も継続していきたい」と連携の意義を強調した。
また、同消防の廣瀬睦次長は「隊員が現場で泥酔者などと接する機会も多い。救助に向かっているにもかかわらず、隊員が危害を加えられそうになるケースもしばしばある」と救急現場の実情を明かした上で、「救急隊は傷病者に対して『愛護の精神』で接することが基本だが、その中で自身の身を守る防御術を学べたことは非常に良かった」と訓練の成果を語った。
(押本裕也)