2026年7月、クレジットカード決済代行大手の全東信が破綻した。負債は約1,259億円、年初来最大規模の倒産である。だが問題は一企業の経営破綻にとどまらない。長期にわたる粉飾の裏には、日本のキャッシュレス決済インフラが抱える制度的な盲点があった。なぜ、これほどの粉飾が20年も見抜けなかったのか。そして街の飲食店を直撃した被害は、決済代行という“新しい金融インフラ”の何を突き付けたのか。破綻の影響を整理したうえで、制度的課題と今後の法規制の方向性を読み解く。特別相談窓口の設置、日本政策金融公庫などの融資要件を緩和、といった緊急措置を発表【画像付き記事全文はこちら】
クレジットカード決済代行大手「全東信」は2026年7月6日に大阪地裁から破産手続きの開始決定を受けた。負債規模は約1,259億円に上り、年初来最大規模の倒産となった。
この倒産で特に注目されるのが、「飲食・小売店の決済危機」「地域金融機関の貸し倒れ発生」「巨額粉飾の構造的な問題」の3点である。
「大阪南飲食事業協同組合」をルーツとする全東信は、主に飲食店をターゲットとして、「カード決済の駆け込み寺」と一部で呼ばれていたように、加盟店審査基準が比較的緩やかだったと指摘されている。
また、クレジットカードの売上を通常より早く現金化する(週2回・月6回など)早期決済サービスを強みにしてきた。このため、全東信の決済サービスを利用してきた多くの中小店舗は、死活問題に直面することになった。
・黒字倒産の危機:破産にともない全東信によるサービスが即時停止したため、すでにカード決済されたお店の売上金が同社から振り込まれない(未入金)ケースが発生しており、中小店舗の経営破綻につながる可能性も出ている。
・連鎖倒産の懸念:インバウンド(訪日外国人)や新規顧客の多くがカード決済を利用しているため、数十~数百万円規模の売上が突然ストップし、個人経営の飲食店などが家賃や給与、仕入れ代金を払えずに連鎖倒産するリスクが高まっている。
・決済手段の喪失:多くの店舗は急遽、全東信の端末を停止し、現金払いや他の決済手段に切り替える対応を迫られている。しかし、他社の審査に通らなかったために全東信を利用していた店舗も多く、カード決済の切り替えは容易ではない。
経済産業省も事態を重く見て、影響を受ける中小企業の資金繰りを支援するため、特別相談窓口の設置、日本政策金融公庫などの融資要件を緩和、といった緊急措置を発表している。
また、金融庁も他省庁と連名で「全東信の破産手続開始を踏まえた金融上の対応について」という通達を出し、中小・零細企業に対する配慮を求めている。