6月19日の朝9時、警視庁麻布署から1台の護送車両が姿を現した。運転席と後部座席との間に設けられた金網の向こうに男の顔が見える。ちょうど2ヵ月前に死体遺棄罪で送検された際は助手席の陰に身を隠そうとしていたが、この日は正面を向いて静かに目を閉じていた──。【写真】めっちゃ隠れてる……2ヵ月前の送検で水口被告が見せていた“狼狽”警視庁は6月17日にIT関連会社『Linuxジャパン』代表の水口克也被告(49)を、同社役員の神山猛さん(当時54)の殺害容疑で再逮捕した。水口被告は神山さんの死体遺棄容疑で4月に逮捕。5月8日に起訴されている。
「昨年10月、『神山さんと連絡が取れない』と、知人女性から警察へ相談がありました。警察が会社の事務所内を調べましたが、とくに変わった様子はなく、事件性なしと判断されていました。しかし、今年の2月に再び女性から『連絡がつかない』と相談があり、再捜査すると社内で神山さんの血痕が見つかったのです。
さらに、神山さんが失踪したと思われる時期に水口被告が複数回にわたってブルーシートを購入したり、レンタカーを借りるなど不審な行動をしていたことが判明し、死体遺棄容疑で逮捕しました。しかし、この時点では神山さんの遺体はまだ見つかっておらず、“遺体なき死体遺棄事件”だったのです」(全国紙社会部記者)
遺体の一部が静岡県伊豆市の道路沿いの山林内で発見されたのは5月29日のこと。木に引っかかっていた黒いボストンバッグの中に胴体部分が入っており、DNA型鑑定の結果、遺体は神山さんのものと判明した。
「水口被告が再逮捕された同じ日に北海道札幌市の無職・鈴木隼斗容疑者(29)が死体損壊と死体遺棄の幇助(ほうじょ)の容疑で逮捕されています。2人は、昨年6月にSNSで知り合い、秘匿性の高いアプリでやり取りするようになりました。水口被告が“何でも屋”を名乗る鈴木容疑者に〈人を殺してほしい〉と持ちかけたということでした。
鈴木容疑者は前向きな返事をしたものの、殺人を犯すつもりはなく、何かと理由をつけて水口被告に送金させていたようです。鈴木容疑者は過去にも客から頼まれた仕事をせずにカネだけ取っていたことがあったそうで、『今回もカモだと思った』と供述しているといいます。
しびれを切らした水口被告は自身の手で神山さんを殺害。〈自分で殺った〉と、鈴木容疑者にビニールシートをかけた遺体のようなものが写った“証拠写真”を送ってきたそうです。
ところが鈴木容疑者は謝罪するどころか〈約束が違う〉と、違約金などを要求。それまでのぶんと合わせて530万円以上を送金させたようです。その後も〈遺体が重くて運べない〉という水口容疑者からの相談に〈チェーンソーで解体しては?〉〈レンタカーで運んでは〉などと、アドバイスしていました」(同前)
今回、鈴木容疑者とのやり取りが再逮捕に至るカギになったとみられる。
「水口被告は鈴木容疑者に〈(’25年)9月28日までに殺さないと会社が乗っ取られる〉〈銀行の暗証番号が変えられてしまう〉などと送っていたようです。水口被告と神山さんが会社の経営を巡って対立した末に殺害に及んだとみて、警察は捜査を進めています」(同前)
“遺体なき死体遺棄”での逮捕から2ヵ月を経て、ついに殺人容疑で逮捕された水口被告。犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が今後の捜査について語る。
「ご遺体は一部しか発見されていません。遺棄場所の捜査が第一です。その次が鈴木容疑者についての捜査です。どういう経緯で知り合ったのか。殺人の依頼を受けてカネだけ取ったわけですから、詐欺みたいなもの。鈴木容疑者からはそれら余罪も出てくるでしょうし、それを自分で考えてやったのかどうかという点も疑問です。
あとは水口容疑者の殺害動機。人に頼んでまで殺したかったわけですから、相当の理由があるんだろうと思います。これまでにも『役員報酬や会社の経営方針を巡って争いがあったようだ』と報じられていますが、それなら他に対応のしようがあったわけです。
遺体をバラバラにしてまで見つからないようにしているわけですから、かなり強い殺意があったと思われます。実際の動機が何なのか、報じられている理由だけでここまでやるものなのか。そのあたりも含めて調べる必要があります」
水口被告は殺人容疑について黙秘しているという。だが、犯行の全貌が明かされるのはそう遠くないだろう。
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