福井中3殺害の再審無罪、被害者の姉は憎んできた<犯人>に「悪くない」と伝え「司法に翻弄されたのは前川さんも同じ」…一転<未解決>で願いは真実の解明

1986年に福井市で起きた中3女子生徒殺害事件の被害者の姉が読売新聞の取材に応じた。事件は昨年、殺人罪で服役した前川彰司さん(61)の再審無罪が確定し、一転して未解決となった。事件から40年、姉は「司法に翻弄されてきた。犯人は名乗り出てほしい」と訴えた。(福井支局 佐藤圭史)【写真】昨年8月の記者会見。福井県警の増田美希子本部長は「捜査を検証することはない」と明言
当時18歳だった大橋宏子さん(58)。事件前、家庭の事情で、妹の智子さん(当時15歳)と別々に暮らしていたが、智子さんが暮らす福井市の市営住宅によく遊びに行っていた。
智子さんは、83年に開業して大人気の東京ディズニーランドに行きたがり、大好きなチェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」をよく聴いていた。三つ下で、しっかり者の妹。大橋さんは「周りから私が妹だと間違われた」と懐かしむ。
86年3月19日夜、智子さんは自宅で顔や首を包丁で刺されて殺害された。大橋さんは翌朝、テレビのニュースで知った。「もしも私が一緒にいたら、守ってやれたかもしれない」。悔しさと後悔が募った。
事件後、母親と一緒に智子さんの写真を持ち、東京ディズニーランドを訪れた。でも、思い出す度、悲しくもなった。次第に、家族の間で智子さんの話をすることが減っていった。
長い間、犯人として逮捕された前川さんを憎んできた。
だが、昨年7月、名古屋高裁金沢支部で再審判決を傍聴した際、初めて前川さんを見て、「司法に翻弄されたのは前川さんも同じ」との思いを抱くようになった。
今年2月、直接会って話すことができ、「前川さんは悪くない」と伝えた。「前川さんも刑務所に入ってつらい思いをした。無罪になったんだから、堂々と生きてほしい」と願う。
智子さんが生きていれば55歳。「結婚して子供がいれば、その子も大きくなっていたかもしれない」と想像する。父親は亡くなり、母親は認知症で施設に入った。40年が過ぎ、妹のことを覚えている人が減っている。「世の中に事件を忘れてほしくない。忘れたら、智ちゃんが浮かばれない」と思う。

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