矢祭町で無許可盛り土、規制前の福島県狙う 県境近い土地選び取得か

福島県矢祭町山下の山林に無許可で盛り土が造成された事件で、盛り土規制法違反と森林法違反の疑いで棚倉署に逮捕された茨城県つくば市、土砂処分業の秋津洲工業(同市)社長の男(61)が関東圏の工事現場から出た建設残土を処理するため、関東圏に近い土地を選んで取得し、土砂を運び込んでいた可能性があることが24日、捜査関係者への取材で分かった。

 土砂が運び込まれた土地は茨城県境の近くにあり、秋津洲工業が2023年6月に取得した。捜査関係者によると、当時の福島県は盛り土規制法に基づく規制区域が設けられる前だったため、社長の男は規制が少なく、関東圏から近い県内の場所を狙って取得したとみられる。

 県や県警によると、運び込まれた土砂は約7万立方メートルとみられ、高さは約30メートル。24年2月に盛り土が隣接する保安林まで拡大していたことが判明し、県が工事の中止を指示したが、社長の男は指示を認識しながら、造成を続けていた。捜査関係者によると、社長の男は自社以外の業者からも土砂を受け入れるなどして、収益を得ていた可能性があるという。

 事件ではほかに、千葉県松戸市、車両板金塗装業の男(37)、現場で造成工事に携わっていた茨城県龍ケ崎市、アルバイトの男(53)も逮捕されている。県警はほかにも関与した人物がいるとみており、秋津洲工業の立件も視野に捜査している。

 棚倉署は24日、社長の男、塗装業の男、アルバイトの男の3容疑者を送検した。
事件を巡り、矢祭町の佐川正一郎町長は24日、福島民友新聞社の取材に対し、手付かずのまま残されている盛り土の撤去費用について、現時点での概算額として「3億~4億円程度かかるのではないか」との見方を示した。精査を進めれば、撤去費用はさらに膨らむ可能性があるといい「町単独でできるものではない」と強調した。

 また本県選出の国会議員らに対し、残された盛り土への対応を検討してもらうための要望書を7月に提出する考えも明らかにした。佐川町長は「盛り土の撤去費用の負担割合などを含め、撤去に関する仕組みづくりを国や国会議員に考えてもらいたい」と訴えた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする