プルデンシャル問題“火消し失敗”の原因は…企業が陥る「2つの罠」

SNSなどによって世論が大きなうねりとなって押し寄せてくるいまの時代、企業の「危機対応」は、事業の継続にかかわる重大なポイントになっています。

ある日、突然やってくる“危機”に、企業としてどう向き合えばいいのか。フジテレビ、小林製薬、旧ビッグモーター、旧ジャニーズ事務所……近年の事案を振り返っても、学ぶべきことは多いでしょう。

公認会計士として長年、企業のコンプライアンス・危機管理にかかわってきた大久保和孝さんに、実際の事例をもとに“企業を守る”ための具体的なヒントを解説してもらいます。
【危機対応で本当に問われるものは何か】

「返金する」「社長が辞める」――企業不祥事のたびに繰り返されるこの対応が、なぜ社会の納得につながらないのか。年明けから注目を集めたプルデンシャル生命保険の問題は、その理由を非常にわかりやすく示しています。

今回、社会が問うていたのは、犯罪の有無そのものではありません。なぜ長期にわたり、多数の社員・元社員が関与する問題を止められなかったのか。なぜ会社としての統制や自浄作用が機能しなかったのか。その一点です。

危機対応で本当に問われるものは何か。プルデンシャル問題を通じて考えます。
不祥事が起きたとき、企業が最初にやってしまいがちな失敗があります。それは、問題を「一部の社員の不正」に矮小化し、組織として問われている責任から目をそらしてしまうことです。

年明けから注目を集めたプルデンシャル生命の問題は、まさにその典型でした。関与したのは1人や2人ではなく、多数の社員・元社員です。しかも問題は長期間にわたり、高額の被害を生んでいました。こうした局面で社会が問うのは、もはや「犯罪があったかどうか」だけではありません。

問われているのは、なぜ企業としての統制が機能しなかったのか、なぜ自浄作用が働かなかったのかという点です。

にもかかわらず、多くの企業は危機の入口で、問題を「個人の逸脱」として処理しようとします。その結果、社会との認識のズレが広がり、火消しのつもりの対応が、かえって不信を増幅させてしまう。この構図は、近年のさまざまな炎上事例でも繰り返されてきました。

今回のプルデンシャル問題から見えてくる論点は、大きく以下の2つがあります。

①ビジネスモデルを絶対視するあまり、問題を“個人犯罪”に矮小化してしまったこと。
②その認識の甘さが初動対応の甘さを招き、「補償さえすればよい」という世間とズレた解決策につながってしまったこと。

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