電話やSNSで誘導するなどして行われる特殊詐欺(ニセ電話詐欺)による昨年の福岡県内の被害額は約135億1000万円で、前年から42億3000万円増加し、過去最悪の状況となっている。北九州市小倉南区の被害が深刻とされ、手口に国際電話が多く用いられていることから、県警は国際電話の着信ブロックを呼びかけるなど、被害ゼロを目指している。(谷口善祐)【グラフ】過去10年の特殊詐欺の被害額の推移、24年から急増
「ストップ。詐欺被害」――。北九州市と警察による合同対策会議が5月中旬に市役所で開かれ、区長や各警察署長たちが声を合わせ、被害防止に全力を挙げることを確認した。
中間市や遠賀郡を含む北九州地区の昨年の被害額は44億円(認知件数561件)と県全体の3割を占め、前年から倍以上になった。2021年からの増加傾向にも歯止めが掛からない。
手口が多様化、巧妙化し、被害は若年者から高齢者まで広がっており、会議で谷山浩一郎・市警察部長は「ニセ電話詐欺は深刻な社会問題だ。私利私欲に駆られ、罪のない人をだまし傷つけた者には必ず大きな代償を払ってもらう」と語気を強めた。武内和久市長も「市役所と県警が強固に連携し、不退転の決意で取り組む」と語った。
特に被害が深刻なのが県警小倉南署が管轄する小倉南区で、昨年の被害額14億3000万円は県内署でワースト1位という。今年も3月までの被害額が3億2000万円に上っており、同署の久松清一署長は「危機的な状況だ」と警戒を強める。
同区は、北九州市でも有数の人口を抱えベッドタウンとしても知られる。同署の後藤智江生活安全課長は「幅広い年代が生活しており、様々な手口のターゲットになっていることも被害が多い要因の一つだ」と分析する。
親族らになりすます「オレオレ詐欺」、SNSの偽広告などから誘導する「SNS型投資詐欺」がある中、近年被害が増加しているのが、何者かが警察官をかたる「ニセ警察詐欺」だ。後藤課長は、手口が新しく、逮捕状を偽造するといった巧妙化が進んでいると指摘する。「警察が逮捕状をレターパックで送ったり、ウェブ上の画面で見せたりすることはない。不審に思ったら迷わずに110番してほしい」と呼びかけている。