動き出す危険運転の見直し「命の重みを反映させて」2人の娘の命を奪われた遺族の26年

2025年1月、福島県郡山市のJR郡山駅前で大阪府から来た受験生(当時19歳)が飲酒運転の車にはねられ死亡する事故があった。酒気帯び運転と過失運転の疑いで逮捕された被告は、その後の捜査の結果、過失運転致死傷罪よりも法定刑が重い危険運転致死傷の罪に問われ、9月17日に懲役12年の判決が言い渡された。
「人の命の重みが反映されていない法律は変えてもらうしかない」
この「危険運転致死傷罪」という法律は、同じく飲酒運転により2人の娘を失ったある被害者遺族がきっかけとなって成立したものだ。法律の運用が始まってもうすぐ25年、遺族はこの法律が抱えるある課題を指摘する。わずか4秒で人生が一変 後を絶たない高齢者の「踏み間違い」、19歳の2人が死傷した福島県の事故
「みんなの記憶から消えてしまうのが本人にとっても嫌だと思うし、なんとかしてみんなの記憶にとどめたいと思う」

凍てつく寒さに小雪が混じる1月23日の昼下がり。JR郡山駅前の一角の歩道の前にたくさんの人だかりができていた。近くの寺の住職がボランティアで唱えるお経、通行人が手を合わせ、お焼香をし、花やお菓子を手向けていた。前日の早朝、大学受験のために大阪府から来ていた女性(当時19歳)が飲酒運転の車にはねられ命を落とした事故を悼み、みな駆けつけたのである。

女性の同級生という男性(取材時19)も、別れを告げるために始発の電車で大阪府から郡山市に来て、はらはらと涙を流しながら「彼女のことをみんなの記憶から消して欲しくない」と静かに手を合わせていた。

「おとなしいけれど打ち解ければ明るいし、素直で良い子でした」

交通事故現場としては異例となる献花台が設けられ、道行く人が連日手を合わせていた。そんな人たちに交じり、特別な思いを抱きながら、花を手向けた夫婦がいる。現在はベトナムに住みながら、この事故を知りはるばる足を運んだ井上さん夫婦だ。
「若者の命と未来が断ち切られてしまう。そんな悪質で危険な運転をする加害者に対して本当に許せないという気がした。かわいそうだったね、じゃ済ましちゃいけない事故だと思う」

井上保孝(やすたか・75)さんと妻の郁美(いくみ・56)さんが憤るわけは26年前にさかのぼる。

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