排水管やガス機器が「劣化している」などとうそを言って不安をあおり、格安のサービスを装って高額な点検費をだまし取る「点検商法」の被害が全国で相次いでいる。警察庁のまとめでは、昨年に全国の警察が摘発した悪質リフォームに関する事件は統計が残る2010年以降では最多。奈良県内でも県民くらし相談センターへ継続的に相談が寄せられており、奈良県警などが注意を呼びかけている。(遠藤絢子、児玉奏子)▶「近くで工事するから」と訪れた男、「お宅の屋根がはがれている」と屋根にあがり120万円の工事見積書手渡す
「高圧洗浄による排水管洗浄を地域一斉工事により格安にて実施させて頂(いただ)きます」
奈良市内の女性(78)は約1年半前、<排水管の高圧洗浄3000円>とうたうチラシを自宅のポストで見つけた。これまで依頼していた会社より安く、しばらくメンテナンスもしていなかった。そこで、チラシに記載された電話番号に連絡して申し込んだ。
後日、男性1人が訪れ、8か所ほどを洗浄したという。終わりがけに「ほかに困りごとはないか」と聞かれ、「脱衣所の床のへこみが気になる」と伝えた。すると、別の日に男性2人が再び訪れ、2人は床下を調べ、「シロアリの跡がある」と高額な補修工事を提案してきたという。
最も高いプランは約150万円。一人暮らしの女性は不審に思い、家族に相談し、詐欺を指摘されて工事を断った。だが、その後も類似のチラシが定期的にポストに投函(とうかん)されているといい、「このあたりは高齢者ばかりで狙われているのかも」と不安を口にする。
警察庁の統計では、昨年1年間に全国で摘発された悪質リフォーム事件は83件。そのうち34件で、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関与が疑われている。県警では、悪質リフォーム事件の年間摘発件数は4件だった。
一方、県消費生活センター(現・県民くらし相談センター消費生活相談課)に25年度に寄せられた住宅リフォームに関する相談件数は150件(暫定値)。21~24年度は160件前後と、相談が後を絶たない。見積もりを超える費用を請求されたり、工事に不備が見つかったりしたという。