トランプ戦争の次の標的はキューバ? アメリカの「対キューバ作戦」の合法性と実現可能性

米司法省はキューバ独立記念日の5月20日、キューバのラウル・カストロ元国家評議会議長(94)を殺人罪などでフロリダ州の大陪審が起訴したと発表した。これを受け、ドナルド・トランプ米大統領が、ベネズエラのニコラス・マドゥロ前大統領にしたのと同じことをカストロにもするのではないかという臆測が高まっている。【動画】アメリカに攻撃されたらどうする? 大統領が本誌に語るかねてから反米的な政策を取ってきたマドゥロは2020年(第1次トランプ政権のときだ)、「麻薬テロリズム」の容疑で米司法当局に起訴された。そして、それを理由に今年1月上旬、米軍の特殊部隊の急襲を受けて逮捕され、米本土に移送され、現在裁判を待っている。

一方、カストロは08年に兄フィデルの後継者として権力を握ったが、これに先立ち国防相を務めていた1996年に、キューバ軍がアメリカの民間機2機(キューバの反体制派活動家らを乗せていた)を撃墜し、4人が死亡。カストロは今回、この事件に関連して起訴された。

60年代にフィデルの下で共産主義になって以来ずっと、キューバとアメリカの関係は悪かったが、ここ数カ月は一段と緊張が高まっていた。ベネズエラ産の石油を頼りにしていたキューバは、アメリカによる事実上の海上封鎖を受けエネルギー危機に陥った。

アメリカはキューバに統治システムの改革などを迫り、アメリカとの取引に応じなければ武力行使に訴える可能性も示唆してきた。トランプ自身が、「次はキューバだ」と発言したこともある。
トランプは2月末、イスラエルと共にイランに対する軍事行動を開始し、イランの最高指導者アリ・ハメネイを殺害した。ただ、この作戦はベネズエラのように短期で終わらず、幕引きへの交渉が難航して、膠着状態に陥っている。

ベネズエラ、イラン、そしてキューバのいずれのケースでも、「武力行使の脅しがエスカレートし、軍備の配置がエスカレートし、威圧や脅しの言葉、さらには造反を促すレトリックがエスカレートした」と、英王立国際問題研究所の中南米担当シニアフェロー、クリストファー・サバティーニは語る。「そうすれば相手の態度は変わるだろうという期待があった。これは交渉戦略とは違う」

だが、ベネズエラやイランと同じように、キューバも頑固だ。アメリカとの対話に前向きな姿勢を示しつつ、現体制の改革を断固拒否している。このままでは、事態がさらにエスカレートするだけだと、サバティーニは警告する。「脅しや武力行使の威嚇に効果がなければ、(アメリカが)何らかの行動に踏み切るのは避けられない」

専門家は以前から、カストロの起訴はキューバに対する軍事行動の序章になる可能性があると指摘していた。

実際、起訴が発表された日、キューバ系移民の両親を持つマルコ・ルビオ米国務長官はキューバ国民に向けて、現体制に対して立ち上がるようスペイン語で呼びかける5分間の動画を発表。経済難の責任は現政府にあるとして、アメリカと「新たな関係」を築くことを促した。

トランプ自身も同日、直ちに軍事行動を起こす考えはないとし、こう記者団に語った。「(キューバの経済社会は)ひどい状況にある。(政府は)全く統治できていない」

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